トップ | 主要 | 経済 | 企業 | 株・為替 | 国際 | 政治 | 社会 | スポーツ | 新製品 | リリース | 社説・春秋 | おくやみ | ネットPLUS | ネットナビ | ニュースランキング |
シティCEOのてこ入れ策、「代わり映えしない」との声もニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米シティグループ(NYSE:C)のビクラム・パンディット最高経営責任者(CEO)が9日、アナリストや投資家に語った計画は、シティの株価低迷に長い間苦しんでいる投資家には聞き覚えのある内容だった。 同氏は昨年12月にCEOに就任後、初めての大掛かりな投資家やアナリスト向けのスピーチで、シティの分割には関心がないことをあらためて示した。ただシティは、向こう2−3年で約4000億ドル規模の資産を売却すると発表した。 1998年にシティコープとトラベラーズ・グループの合併で現在のシティグループが誕生して以来、シティは、金融のさまざまな業態をそろえるというスーパーマーケット戦略を中核に据えてきた。パンディット氏はこの戦略の継続を約束するに当たり、企業文化を結束させ、事務管理部門や情報技術(IT)システムの統合を進めると明言した。 同氏は「ある意味で98年の合併は完了していなかった」と述べた。シティには現在、16カ所の異なるデータベースセンターがあるが、本当に必要なのは2−3カ所。また、さまざまな種類のITシステムの管理を従業員約2万5000人が担当している。パンディット氏は、「われわれはようやく、あらゆる面で統合することになる」とした。 マンハッタンのシティ本社で開かれた説明会に詰めかけたアナリストや投資家の一部にとって、こうしたパンディット氏の発言はデジャビュ(既視感)のようだった。同氏の前任者チャールズ・プリンス氏は、無駄をそぎ落として競争力を高めると強調したが、ウォール街では懐疑論が高まっていた。同氏は昨年11月、住宅ローン関連の損失が膨らんだことからCEO辞任を余儀なくされた。 シティ株約70万株を保有するオプティーク・キャピタル・マネジメント(ウィスコンシン州ラシーン)のアナリスト、ウィリアム・フィッツパトリック氏はパンディット氏の戦略について「従来とほとんど同じように思われ、これを聞いた人々は非常に不安になっている。ただ頑張りましょうと言っているのと同じで、ちょっと聞き飽きた」と語った。 シティ株の9日終値は、前日比0.67ドル(2.76%)安の23.63ドル。過去1年で56%下落した。 パンディット氏は「私の戦略は従来と全く異なるもので、シティの最も困難な問題の一部はすでに解決に向け前進している」と強調した。 同氏は、リスク管理、資本の配分や支出の集中管理、事業の再構築により大きな注意を払っていることを指摘し、「われわれはようやく、目標達成を目指そうとしている。各自に連帯責任があり、われわれは達成できると確信している」と語った。 シティがこの日発表した4000億ドルの資産売却計画は、あまり意外ではなかった。シティ幹部はこれまでに、住宅ローン関連やストラクチャードファイナンス(仕組み金融)関連の高リスク資産、多数の小規模の子会社を売却する意向を示していた。こうした売却を想定している資産は、3月末時点のシティの資産2兆2000億ドルの約20%に相当する。またパンディット氏率いる経営チームが「不要なレガシーアセット(経済的遺産)」と判断したうちの約80%を占める。 シティ幹部は、バランスシートの圧縮を目指すのかどうかには言及しなかった。シティでは新たなローンや証券発行が予定されている。(売却予定の)4000億ドル相当の資産を除いても、シティの資産規模は、3月末時点で1兆7400億ドルだったバンク・オブ・アメリカ(NYSE:BAC)を上回る。時価総額ではバンカメが米銀最大で、JPモルガン・チェース(NYSE:JPM)、シティがそれに続く。 パンディット氏は、シティは引き続き非中核事業を売却すると述べたものの、どの部門を売りに出しているのか、そうした売却がいつ実現するのかについては具体的に言及していない。 パンディット氏と、同氏の長年の腹心であるドン・キャラハン最高総務責任者(CAO)は、10年以上の間に実施した買収でさまざまな異なる企業文化が混在している状況から、企業文化の統合が進みつつあるという、勇気づけられる兆候がみられると語った。 キャラハン氏は、「8日のシティ幹部の夕食会で、企業文化の統合が最優先課題だという点で全員の意見が一致した」との例を挙げ、「私はすでに(統合が進んでいると)感じている」と述べた。 シティは、株主資本利益率(ROE)の短期的な目標を16−18%、長期的な目標は18−20%としているが、それぞれが指す具体的な期間をはっきり示していない。2006年のROEは18.8%だったが、昨年は2.9%に低下した。 一部のアナリストは、シティが利益目標の達成と広範なITシステムや事務管理システムの統合とを同時に進めることができるのかと疑問を呈している。 パンディット氏は、早期の実現を期待しないよう呼びかけ、「時間がかかる」と述べた。 Copyright (c) 2008 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved. 米DJ記事一覧
Copyright (C) 2008 Dow Jones & Company Inc. All rights reserved.
|
|