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「五輪」みつめるウイグル人 中国の弾圧に離散 (2/3ページ)
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主権
中国の影響力拡大は、ウイグル人たちの中の複雑な思いを呼び起こした。象徴的なのは、中国とロシアが2001年、中央アジア4カ国と結成した上海協力機構(SCO)の存在だ。
ビシケクで92年から、キルギスとカザフのウイグル人向けに新聞(3500部)を発行する同胞組織「イチパック(団結)」代表のアクバロフさん(53)は、「中国はまさにウイグル人を標的にSCOを創設した。SCOはキルギスやカザフの腕を縛っており、ウイグル人の民主化運動に有害だ」と断じる。
SCOは反テロリズムと反分離主義を掲げており、中央アジアの加盟国は新疆からの脱出者を引き渡す義務を負うなど、ウイグル問題で中国に従わざるを得ない。アクバロフさんによれば、昨年、カザフからは少なくとも4〜5人が新疆ウイグル自治区に強制送還され、即座に射殺されたとみられる。
カザフではウイグル人を「テロリスト」「イスラム過激派」と決めつける論調が新聞上で後を絶たず、同胞に向けられる目は厳しい。キルギスやカザフよりも閉鎖的な独裁体制を敷く他の中央アジア諸国での事情は、伺い知れない。
マジナ市場のサリモフさんは、「ビジネスに民族は関係ない。われわれは中国の民衆を憎んでいるのではない」としながらも、「中国の政権がいつの日か代わり、新疆に戻れる日が来ることを願う。主権−それはウイグル人共通の夢だ」と複雑な胸中を明かす。