銃規制を話し合う有識者懇談会の初会合が十二日開かれた。警察庁は猟銃所持の許可要件を厳しくする方向という。銃を使った事件をなくすには、所持許可の厳格化は当然であり、急ぐべきだ。
警察庁が懇談会を設けるきっかけとなったのは、昨年十二月に長崎県佐世保市で起きた散弾銃の乱射事件だ。二人が死亡し、六人が負傷する惨劇となり、犯人の男は銃で自殺した。
男は銃を持って自宅周辺をうろついたことがあり、近所の人が不安を警察に訴えていた。そんな情報があったのに、男に銃の所持は許されたままだったから、警察の対応や制度に批判が高まった。
全国で散弾銃や猟銃の所持許可者は約十五万四千人(約三十一万九千丁)。警察が佐世保事件を受けて一斉点検し、三月中旬までに五千六百五十二人(八千六百三十六丁分)が許可証を返納した。
このうち二百三十八人(三百八十四丁分)は警察が指導したからという。現行の銃刀法では所持の欠格事由に当たらないが、ストーカー行為などがあったためだ。
それでも三十一万丁が所持を許可されている状況には、現行の許可制は甘いと言わざるを得ない。ストーカーやドメスティックバイオレンスなどを犯している人に銃の所持を許してはいけない。
早急に法を改正し、そんな行為も欠格事由に加えるべきだが、そこに至っても規制はまだ十分でない。ずさんな銃の保管や管理も事件や事故に結びつくからだ。
昨年十二月、東京都目黒区の医師宅でライフル銃が暴発し、二歳児が死亡するという痛ましい事故が起きている。
銃や弾は個人で保管せず、決められた場所で一元管理するほうが望ましい。銃の所持が許される理由の一つに有害鳥獣の駆除があるから、地域的な配慮は必要だ。しかし、都市部では猟銃を手元に置かなくてもいいのではないか。
警察庁は銃の保管委託の義務づけも検討しているが、保管業者の収容能力に限界があるようだ。
銃の保管が難しいというのなら、発射に必要な部品「先台」だけでも預けることの義務化を検討してはどうか。
銃犯罪をなくすには猟銃規制と併せ、暴力団の銃器への厳しい対策が必要だ。警察は一層の取り締まりと密輸防止に努めてほしい。
手元になければ凶器とならない。できるだけ銃を社会から遠ざけた存在にしなければならない。
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