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【国際】

【関連】五輪控えまた難題 中国大地震 震源地にチベット族 救援、秩序に懸念

2008年5月13日 朝刊

 【重慶=平岩勇司】中国四川省で十二日に起きた大規模な地震を受けて、胡錦濤国家主席は迅速な救援活動を指示し、温家宝首相を現地に急派した。震源地はチベット政策をめぐる暴動で多数の死者が出た地域。対応をあやまれば、住民の不満が再燃する懸念もあり、北京五輪を目前に控えた中国政府は、新たな難題を抱えることになった。

 中国中央テレビによると、胡主席は、負傷者の治療と被災者の安全を確保するよう「重要指示」を出した。これを受け、温首相は自身をトップとする災害対策本部を設置。直ちに被災地に向かった。

 温首相は四川省の省都・成都に向かう特別機内で「重要講話」を発表。「党中央と国務院は各級指導幹部に対し、第一線で先頭に立ち、震災救援と被災者救済をしっかりやり遂げるよう求める」と強調した。国民が一致団結して災害を克服するよう訴え、最も重要なのは「落ち着きと信頼と勇気だ」と平静を保つよう呼びかけた。

 迅速な対応には、地震の規模もさることながら、震源地の〓川県が属するアバ・チベット族チャン族自治州が三月、チベット族住民による暴動が発生した地域であることが背景にありそうだ。救援活動に遅れが出ると、新たな暴動の火ダネともなりかねない。

 国営新華社通信によると、中国公安省は同日、各地の公安機関に被災地の社会秩序維持に全力を挙げるよう緊急通達した。中国政府は復旧作業に全力を挙げると同時に、チベット独立派や不満分子が混乱を利用して騒ぎを起こすことを警戒し、統制を強めるものとみられる。

※〓はさんずいに文

 

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