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2005年2月8日、NHK総合テレビで夜中に再放送された「フリーター漂流〜モノ作りの現場で〜」という、恐ろしい番組を見ました。例の、評判の2ちゃんねるで、放送と同時進行で、掲示板が進行していました。60代を迎えた私は、「これは間違っている。会社が人間を壊している。会社が壊れている。社会が壊れている。」と思いました。私は私なりに、物作りの現場で長年過ごしてきた者ですが、これほどひどい日本になっていることは、正直な話、存じ上げませんでした。以前も、2004年1月20日のNHKクローズアップ現代「オンラインゲームにはまる儒教の国『日韓』の青年達」を取り上げて論じました。
この記事に関するコメントは後日させて頂くとして、基本的に「今の若者はかわいそうな環境にある。会社は傲慢である。フリーターにせよ、派遣社員にせよ、バイトにせよ、パートにせよ、労働基準法を守り、日本国憲法を守り、労働者を人間として処遇するべき者である。フリーター達を人間部品みたいに使い捨てにしなければ会社が潰れるのが現実とは言え、労働者を人間として処遇するほうの優先順位の方が高い。」というのが、私の見解である。
SEやPGもどちらかと言うと、適切な処遇を受けていない職種である。今回のNHKの「派遣会社に振り回されるフリーター」ほどひどい状況ではないことを願うが、手に技術を持たないSEやPGは、フリーターと同じ処遇を受ける可能性は大である。そのため、このサイトのオーナー「小林健三」は、SEのサポーターを任じているわけだから、SEが必要とする情報を無償で提供することは当然私の義務であると認識している。実を言うと、このサイトを運営するに当たり相当の費用が発生するのであるが、一切の収入はこのサイトから得られていない。そのため、会員制のサイトを充実し、それによる収入を期待しているのであるが、私の運営方針の方が優先である。そのため、会員制サイトは「用語集」に限定する。また、公開しているサイトの上級の情報を提供するサイトとして、「会員制のサイト」を運営する。
そのため、基本情報である「SEの心得え」「SEの心構え」のサイトは、公開サイトに移動させました。時々刻々の上級情報が記載される可能性が高いのはもちろん、会員制のサイトでありますが、基本情報はこのサイトに公開いたします。SEの質疑応答も会員制のサイトに移動させる予定でしたが、そのまま、公開サイトにとどめます。
皆さまの相も変わらぬご愛顧をお願いいたします。それと同時に、私のサイトの情報を元にして、何らかの利益を享受し、オーナーに感謝の意を表明したいとお考えの方は、どうぞ、会員制サイトにご加入下さい。
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お待たせしました。「SEの心得え」「SEの心構え」に関して、長い間、登録ユーザに対して、pdfファイルでご提供してきましたが、この度その情報を一般公開することと致しました。ただし、全20ページのうち、6ページまでです。後は、有償で、pdfファイルとしておわけいたします。もっとも、pdfファイル自体は、無償でダウンロードできますが、この文書はキーがかかっています。その文書を開くためのキーを有償でおわけいたします。
注意:特別に、2003年9月27日から当分の間、20ページのスライド全部を掲載いたします。
アクセス数が当初予定よりどんどん増えています。有償にしようとしましたが、未だ完成していないし、ご愛顧を賜っているので、ビジター数が5,000を越えた段階で元の6スライドに戻ります。<笑い>
全ての版権は、本サイトの運営者、小林健三に属します。無断でのご使用はお断りいたします。
このページでは,次のことについて述べます。
- 職業としてSEを勤めている人間が、必須とするノウハウを記載する。
- 他の分野の人が、SEとはどのような職業であるかを理解するのに役立つであろう。
- 今後、SEを目指す人も、どのような心構えでSE職を勤めればいいのかがわかるであろう。
- また、この「SEの心得」を読んで、当たり前じゃないか、と思われる方が多いと思う。その理由は、SEは何も特殊な職種ではないということ、「職業人」としての、一般的な仕事とほとんど変らない。しかし、多少は異なることもあるのではないかと思って、ここに記載したものです。
- また、この「心得」は、筆者小林健三の独断と偏見に基づくものであり、一般的な見解と異なる可能性もあることを認識の上、ご活用頂ければうれしい。
- なお、このプレゼンテーションは、マック用のプレゼンテーションソフトウエアとして非常に有名で、有力であった、しかし、マイクロソフトのPowerPointに潰された、Aldus社のPersuasion
3.0J を使用している。もし、Aldus社のPersuasion Playerをお持ちの方は、多分、ここをクリックすると、Player用のファイルがダウンロードできるか、Playerが立ち上がると思う。ためしてみてください。
それでは、下のナビゲーションでどうぞ。しばらく、暫定運用で、内容追加・追記、および、更新を続けます。お楽しみに。これが全部ではありません。
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これは単に表紙です。あまり意味がありませんね。でも、この無料サービスは、 TEPシステムズが提供していることをお忘れなく。
是非、教材などをご購入ください。
これは大切なことです。サービスを受けた場合は、それ相応の対価を支払うことは、人間世界では常識です。冥界、動物、猫の世界ではどうか知りませんが。
これは、目次です。SEの心得を9項にまとめたものです。これで立派なSEになれると思ってください。でも、これが非常に難しい。
このプレゼンは、この9項目だけではありません。すなわち、もっとありますが、現在の無料のサイトでは、全部で6ページです。
その他に
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無駄な時間の使い方はやめよう
- 技術のおさらい
- 技術動向、市場動向を把握しよう
- SE、プログラマーとしての必須の知識
- SEの基本業務についての必須の知識
- 予測の方法--業務計画書作成に当たって必須の技術
- 推定の誤差--計画書の計画倒れを無くする必須の技術
- 情報操作--上司、顧客を巻き込んで成功するための必須の技術
などが書かれていますが、これは、この無償のサイトには掲載されておりません。ご希望の方は、TEPシステムズのサイトからどうぞ。



これが、SEの業務を端的に表現していることである。すなわち、SEはプロジェクトのリーダーである。リーダーでなければならない。ということです。組織上、SEがリーダーでなく、誰かの下で動くことがあろうが、その場合でも、上に書いてあるような事が、自分の権限として与えられていなければならない。
しかし、一年生、失礼、入社早々の新人に、何と彼の尊い「SE」の称号を与えるFから始まる会社のようなところでは、自分にこれを適用してはならない。まずは、数年の下積みの生活をして実力を蓄え、その後、サブの仕事をし、そして、初めて小さいシステムを任される可能性が高くなる。そのような時はまだ初心で、恐る恐る、下記のようなことを頭の中に描きながら、社内の動力学を理解することです。それらが全て把握できた段階、すなわち、入社してSEとして働いて、10年以上成功・失敗の経験をおさめたような人は、下記のような「SEの理念」を高らかに掲げて、上司と交渉すればいい。それまでは「ぼつぼつ」やらないと、即刻首を切られるよ。自分の実力、評価、実績を十分に理解し、そして、そのような立場にあるのなら、これくらいのことは言っても良いのじゃないかと、恐る恐る切り出すのが社会人として当然。
2003年10月1日のNHKの「クローズアップ現代」で、研修医のことが話題になっていたが、医者免許を取ってしばらくは「まともに仕事が出来ない」のが当然ではないですか?そしたら、準備役に廻って、先輩の仕事ぶりを盗む、医局内の動力学を勉強する、当然、実地の、血を見るような、[血を吐くような]修羅場の現場を経験する事が重要。そして、初めて、自分もちょっと手を出させてもらおうかなと思うのが当然。東大病院の研修医が特別、頭が良くて、優れており、研修医になった途端に、先輩医師と同様のレベルで治療が出来ると思うのが間違いの元。だから、東大卒の医師とは言え、きちんとした研修、勉強を続けない限り、まともな医師としては働けないと思ったほうが良い。それを、うぬぼれて、研修医の段階でまともな診療をさせてくれないからといって不満を言うのは間違っている。入院病棟は、この新米の「研修医」が担当しているが、これがまた「大問題」で、まともな医療を受けようと思ったら、東大病院には入院しないほうが良いと、筆者は思います。まあ、35才くらいになって、ポストがないために「研修医」のバッチをつけている人は良いかも知れないけど、30才以下の研修医が主体を占めている、東大病院は敬遠するほうがベターです。[これは一般論ではありません。特定の病棟に関しての話です]
研修制度というのは、必要だけど、あくまでもオンザジョブトレーニングですよ。そこから抜け出して独り立ちをするためには相当の覚悟と経験が必要ですよ。馬鹿みたいな、素人っぽい、レポートを書いてお茶を濁すようだと、クローズアップ現代もおしまいですね。こんな状況は、厳しい製造業では当たり前の話。医師のように、人間の命を預かるからには、もっと真剣に自分を鍛え、研修医を鍛えるしかるべき精度を構築しなければならないのは当然です。もっともっと世間を知るべきでしょう。もう一つの人気番組の「・・・アマリニヘイボンデ・・プロジェクトXだったわ!!・・ワスレテシモウタワ!!・・」も同じ。あんなのは、製造やその他の現場では誰でもが経験していること。何も珍しいことではない。NHKにとり、制作コストがドラマなどに比べて極端に安く付くから、継続してやっているに過ぎないと正直に記載してはどうだろうか。正直言ってつまらないことおびただしい。今の40〜60才台の人間は、ほとんどがこのような日常茶飯事を経験していることであり、馬鹿にしているはず。誰でも当然にやっていることを伝えるという意味では意味があるのかもしれないが。

さて、本題は、SEと顧客との関係に入る。すなわち、SEにとって顧客は重要な存在であるし、顧客にとっても自分は重要な存在であることを認識させることが重要であるといっているのがこのスライドである。ようするに、持ちつ持たれつ、一心同体、逃げられない関係に持ち込むことが重要である。これが、女性だったら大変であるが、顧客であれば、1人のSEは複数の顧客とこのような関係になっても良いのであるが、案外そうは行かないものである。ある会社の担当者と親しくなると、別の部門や、同業の他の会社とはあまり付きあわなくなる、というより、むしろ、SEの会社自体として、機密保持などの観点から、そのような政策(ポリシー)をとっている可能性があるし、その方が会社としては健全である。同業他社の顧客とも付きあっているSEを、その顧客が本当になって信用してくれるだろうか?やはり、あちこちにぼろが出るので、そんなことは難しいと思う。また、特定の顧客とのつきあいが深まると、もちろん、新聞や会社情報、株式の状況などを元に経営状況などもしっかりと勉強するようになるし、開発方向やら、事業の方向など、その業界、その競合他者との関係、などなど、また、その顧客独自の利点欠点、長所短所などを勉強するので、あまり、同業他社とは付き合わなくなる。
一方、同じ業務に対しての専門家を育てる会社の方針があれば、同じ、業態の同業他社を回るようなこともあるだろうが、案外、このような場合、業務の深いところまでは入り込まないか、または、同じパッケージソフトで同じ業界に対して入り込んでゆくなどの方向が正しいのかもしれない。そうすると、一つのモデルとしての資料ができ上がり、それを同業他社にも説明し、多少モディファイして、「お宅にはこのようなご使用方法、接続方法、マンマシンインタフェース、ハードウエアが最適です。」などなどと提案をして、他社を差別化することになるのである。

さて、今までに説明したことで、顧客とメーカーとの関係は、発注者と業者の関係ではなく、同列の、ギブアンドテイクの関係、パートナー企業としての関係であることがよくお分かりでしょう。そして、本当は、SEたるもの、顧客の先を読み、顧客の先を進み、顧客の要求を先読みし、そして、顧客の抱くであろう課題を先読みし、それを解決するようなソリューションを提案するのです。だから、本当は、顧客より上に位置するべきものです。でも、ここは「じっと我慢の子」
です。お金をくれるのはお客です。お金をもらってなんぼの世界です。いくら、当方の技術がしっかりしており、提案が立派でも、お客が買ってくれなければ一銭の値打ちも無い。だから、お客は大切にしなければならない。お客の対応する担当者がきちんと偉くなり、出世し、社長とまでは行かなくとも、CIO(Chief
Information Officer: 情報技術執行役員)か、CTO(Chief Technology Officer: 技術統括役員)になるように陰ながらご支援をすることです。それが、このスライドの中心課題です。
- それでは、最初の「顧客はSEとともに育ってゆく」ですね。これは、メーカーのSEは、顧客の担当者を育ててゆく必要があるというのです。誰でもそうですが、「噛んで、含めて、栄養を与える」事で育つような「もやし」は意味がありません。きちんと、「骨のある魚」「しがむような堅い肉のステーキ」「噛めば噛むほど味の出るするめ」などをきちんと与えましょう。そして、それを解釈、消化できるような人を相手の会社の担当者として選びましょう。これが大切ですが、貴方次第です。「類は類をもって集まる」ではありませんが、貴方自身が「然るべき存在」であれば、相手の会社も貴方の相手は然るべき人間を与えます。そうしなければ、貴方の顧客は貴方に蹂躙(じゅうりん)されることを十分に知っているからです。「じゅうりん」という言葉が難しければ、「貴方の会社に良いようにあしらわれて、品質のまあまあのものを非常に高額な代償を支払って購入させられ、あとは、ぽいと捨てられる」ということです。そんなことになれば、顧客は目も当てられませんね。だから、貴方自身が然るべき人間であれば、貴方が相手にするべき会社ならば、絶対に貴方にふさわしい人間を貴方の相手に選んで来ますよ。少なくとも、私の場合は、ほとんどの客は「とても骨の折れる」「歯の立ちようの無いような」「目から鼻に抜けるような」すごい人材を投入してきましたね。[非常にまれでしたが、レベルの低い二流、三流の会社の時はそうは行きませんでした。お陰で、私がここで書いているようなことはほとんど当てはまりませんでした。ひどい目に遭いました。だから、ひょっとして、私が書いているのは、一流企業を相手にした場合に限定されるような話かもしれません。そのような危険性があることを誤認識の上で、読んでください。]それで、私は毎日「開眼」ですよ。そのような相手に対してどのように対処すればいいのかということを毎日勉強するわけです。それで、上に書いたようなことを勉強したわけです。
- ですから、ほうっておいても相手は育ってゆくものです。しかし、きちんと、「骨のある魚」「しがむような堅い肉のステーキ」「噛めば噛むほど味の出るするめ」などをきちんと与えましょう。そして、それを栄養にして育ってもらいましょう。当然、SEたる貴方も、同様に育たなければなりません。会社の人材育成計画や、教育制度など「くそくらえ」です。会社が自分を教育してくれるなど思わないことです。技術は盗むものです。自分で自分が勉強して育ってゆくのです。教えてもらうのは、学校卒業までで十分。後は、自分が育つのです。厳しい環境において、厳しい顧客と付き合うことにおいて、学会などで恥ずかしい目にあうことによって、自分の至らなさを認識し、自分の未熟さを反省し、自分の不勉強を悔い改めて、つまらぬことに時間を使うことをやめて「一心不乱」に社会勉強をするのです。経済の勉強をするのです。経済を勉強せずに、技術の動向など分からないですよ。今や、「技術プッシュ」ではなく、「需要プル」ですよ。需要は、社会、経済界の中に存在しているのです。
- まあ、くどい話はこれくらいにして、自分で勉強し、それを種に、相手に勉強させ、ギブアンドテイクで得るものも得ましょう。相手と一緒に育ってゆきましょう。それが、今後の貴方、貴方の相手にとって最も重要なことです。幸せな時代はこれですよ。育ち盛りは、20台の後半から30台です。40歳になったらもうおしまい。いくら勉強しても、「俺の給料は安い」「俺よりも若いヤツが上になりやがった」「あいつは出来ないのに、俺よりも偉くなった」「若いものは勉強しないし、仕事もしない」「ぼつぼつ、おしっこが近くなった」.....なんて愚痴ばっかりこぼし、「毎日毎日会議ばかりで、自分で何も仕事が出来ない」...うん、そうなんです。貴方は、どんな環境においてももう駄目なんです。早く早期退職制度を利用して、会社を辞めなさい。それが「老害」を振りまかない最大の方法です。
- でも、60才台になってもぴんぴん現役でいられる方法もあります。それは、「プレイングマネージャ」となることです。馬鹿なことに時間を潰さず、ゴルフもやらず、カラオケもやらず、銀座通いもせず、きちんとやるべきことをやっていると、相手の会社の担当者が貴方を引き上げてくれますよ。[時間の有効利用に関しては、こちらをごらんください。]だから、必ず、顧客が、「この仕事の担当は貴方」と指名してくれるのです。こうならなきゃ、うそですよ。何で、馬鹿みたいに勉強ばかりしていたの? 何で、ほかの人が「ゴルフ」「マージャン」「カラオケ」「銀座通い」にうつつを抜かしている間、自分は何をしていたの???? いったいいくつ「疑問符?」を続ければいいの?だから、そのように貴方の顧客からきちんと貴方自身に指名がかかるような仕事の進め方をするのですよ。それが貴方の「使命」です。
- ついで、「今の担当者は将来の部門の責任者、部長、社長」の意味はおわかりですね。お互いに助け合い、そして育ってゆくのです。当然、IT部門でしょうから。IT部門の長へ、部長へ、IT部門の長が社長になることはまれですが、CIO(Chief
Information Officer: 情報技術執行役員)か、CTO(Chief Technology Officer: 技術統括役員)なら十分に可能性があります。そのようになるべき人と付き合いましょう。
- また、「顧客には貸しを作ろう。将来のために」という文言は、私自身は好きではないことですが、どうも、会社間の関係は、このような関係になっているようです。第一線の営業などは、顧客の購買部門の担当者とは、「お互いサラリーマン、助け合ってやりましょう」なんですよ。そのような関係を保持していないと、とんだところで足をすくわれるのです。お互いに、厳しい世の中ですから。自分もある程度のマージン(余裕)は確保している(上記ですでに述べたように、顧客の方は、予算獲得の段階から、ある程度の[予算的、日程的]な余裕を持っておかないと、エマージェンシーは必ず起こるものと思った方が良いですね。だから、その「エマージェンシー」が発生したときは、その「余裕」の中で処理をするのですが、それが出来ないほどの「エマージェンシー」も起こることがあります。その時は、お互いに穏便に済ませる必要があります。ですから、「同じ船に乗った運命共同体」であるという認識が重要です。ですから、今回は「借りておく」が、次回には「借りを返す」必要が生じます。これは、例のH社の「1円入札」などという、非常識な世界とは全く異なる世界です。非常に「人情味あふれる」世界です。この世界でSEは生きてゆく必要があります。「1円入札」は会社ぐるみの政策です。汚いです。こんなひどいことを平気でやる台会社があることが、SEの地位をおとしめているのです。SEは会社の横暴から身を守る必要があります。だから、このような会社ぐるみの横暴な政策に対しても、敢然と戦う必要があります。そのために、「顧客担当者と、SEは運命共同体」を構成します。そして、相手の担当者が、偉くなるまでじっとこちらも成長して待っている必要があります。
- 「顧客は大切な金ツルである」は、少々下卑た表現で、筆者は好まないのであるが、まあ、分かりやすく表現するとこのようになる。これはすでに「心得-2」でも記述している通りであり、「売れてナンボノもの」というのとも同じ。顧客に購入して頂かなくては、いかに良い製品、良い提案、良いシステムでも「無価値」である。筆者は、非常に難しい開発に携わっていたことがある。たとえば、「摂氏1,500度程度の溶けた溶銑(溶けた鉄のこと)の流量をリアルタイムで測定したい」という希望が顧客から提出されたことがありました。それに対して、極めて斬新な方法で測定に成功し、実験もほぼ完ぺきまででき上がった。当然特許も取得し、学会の論文賞も取得した。しかし、その測定器があまりにも精密にでき過ぎており、リアルタイムで実際の流れのふらつき(当然流れだからありますよね)まで、チャートに表示するほど敏感であったので、顧客は「おかしいんじゃない?」といっておしまい。全体の溶銑の重量と、測定した流量*比重=全体の重量、の合致は極めて正確なもので、正しい測定器を開発したのであるが、顧客の常識(溶銑の流量なんてリアルタイムではかれるはずは無く、どうも、チャートのふらつきも計器の不安定さを示すものではないか?)という判断一つで、お流れになってしまった。3名が1年ほどかかって開発したものが一瞬でおしまいになるのはこのような場合である。この測定装置は、この特別な官庁の顧客のみであったので、その後陽の目を見ることなく終了した。だから、どのような物であれ、顧客を十分に意識した開発、プロジェクトが重要であり、顧客からの入金があって初めて完了です。このことは絶対忘れてはならないことです。
- 最後に、「顧客の注意心的な人物とは、人柄、能力全ての面で親密な関係を保持する必要がある」というのは、今までの総復習です。相手は、顧客の重要な、中心的な人物、そして、その人とは、自分の人となりの全てをかけて親密な関係を保持しなさいということです。男女の関係を言っているのではありません。当然、同性愛を言っているのではありません。師弟関係でもなく、対等であるが、顧客に重点を置いた、親密な関係を意味します。それは、「こいつは頼りになる」ということを顧客に思わせることと同時に、「こいつは敵に回さないほうが良い」「こいつに逃げられると困る」などなど、貴方のメリットを十分に認識させるほどの重要なポジション、プレゼンス(存在感)を提供することです。
- これは、このサイトでも同じです。皆さんが、私のサイトを訪問してくれる、それは、たまたまかもしれないが、調査では、リピート率が非常に高い、Bookmarkに記録して、すぐに訪問できるようにして、再度訪問してくれる人が非常に多い。文章が多いため、一回では読み切らないから、数回に亘って訪問してくれる。1回の訪問で、1時間程度の滞在をされる方が非常に多いのも、同じことです。私のサイトが、訪問される方にとって有益であればあるほど、私のサイトが意味を持ちます。そして、私自身も、私のノウハウを皆さんに提供しようという気にもなります。しかし、無償のサービスのみに限定されて有償サービスの購入が無ければ、私自身このサイトの運営を継続することは出来ません。しかし、これは「強制」出来るものではなりません。実際、かなりの方が有償サービスを受けられていることが、私を勇気づけてくれています。有り難うござ居ます。ますますのご愛顧をお願いいたします。今回、この「SEの心得え」のサイトを無償で提供しているのも、これらの有償サービスのかたがたのお陰です。どうも有り難うございます。有償サービスの中には、寄付も含まれます。ご有志の方々には会社の口座番号をお知らせいたします。TEPのサイトをご訪問の上、主宰までメールをお送り頂ければ幸いです。
さて、SEの心得-4であるが、主題は「顧客のアドバイザーたれ」です。これは、上で書いてきたことの繰り返しになるが、本質的なことを言っています。銀行業は、以前は、というか、本来は、単に「企業に金を貸す」だけではなく、企業経営に対するアドバイザーとしての地位を確立していたものです。いまでも、欧州の銀行業はそのような機能を保持しているようです。日本は、単に「貸しはがし業」に成り下がっています。しかも、ずいぶん前から、抵当を確保して、それに応じた融資を行うに過ぎなかったのです。だから、10数年前に土地バブルで、地価が下落始めた途端に担保の価値が下がり、大損をしたのが、金融業者から金を借りていた「医師」「弁護士」などの裕福層でした。これらの人は、担保の土地(不動産)の価値が上がり、それに応じて担保価値が上がり、それに応じてさらに融資を受け、その融資で不動産を購入して、...と言う、プラスのサイクルをまわしていたのですが、それがマイナスのサイクルになっています。銀行が、本来の業務に精鋭努力しておれば、このような馬鹿なことは起こらなかったのですが。
さて、第一は「ご用聞き」です。顧客の困っていること、欲しいこと、希望を聞くわけです。これが始めです。困っていることを相談するには、それ相応のつきあいを保持しておかなければ、誰もそのようなことを相談はしませんね。困っていることを赤の他人に話をすることはあり得ません。だから、これが出来る状況に持ってゆくまでに相当の時間・努力が必要です。そして、今までにこのような「困っていること」を話して、それに対する回答・提案が得られ、その提案に従って顧客が何らかの施策を実行して成功した例がなければそのような関係に持ってゆく個てゃできませんね。これは至極当然なことです。このあたりは、すでに記載の通りです。
ついで、「これを解決する方法を提案する」です。困っていること、希望をそのまま叶えてやれば、それで済み、と言うほど事態は単純ではありません。これもどこかで書いたような気がしますが、困っていること、希望すること、などを自分たちの中で消化して、提案を作成するだけの能力を備える必要があります。顧客の業務に精通し、その業務に対する一般的なアプローチ、今後数年間の間のトレンド(予測)を立て、それを実現するための技術的なバックグランド(背景)を調査し、そのトレンドも踏まえて、少なくとも数年の間は使用可能なシステムを提案します。その中には、顧客の希望する案と全く異なる案を提案することもあり得ます。業務の改善案を提案することもあり得ます。単に、通信システムだけの改善であることもあり得ます。かなりに頻度で、DBの再構築などの必要性があり得ます。もちろん、MS社のまがい物のDBを使用するなんて事は、禁物です。きちんとした金を支払って、RDBシステムを提案しなければなりません。
そして、「我々と付き合っていることのメリット」を認識して頂くわけです。これも長い間のつきあいの結果得られるような性格のものです。
特に「協業他社との差別化手段を提供する」事は非常に大切です。これは顧客の担当者のポジションを向上させるためにも必要なのです。ですから、貴方自身はそれを上回るだけの能力を備える必要があります。もちろん、業界に通事、技術に通じ、あらゆる方面での将来予測、そして、提案力、企画力が勝敗を決します。もちろん、開発が必要なこともあるでしょう。競合他社に差別化するには、最近皆さんが経験しているような、標準の世界では、行った移動すればいいのでしょうか。組合せだけでも相当な数の組合せがあります。だから、将来に対する展望が得られるならば、標準に対する展望も得られるでしょう。そのような展望無しには、貴方の提案は意味がありません。他社を差別化するようなことはあり得ないでしょう。ですから、トップレベルのSEとしては、日々精進です。まことに大変な世の中ですが、無駄な時間を潰している時間は無いのです。貴方は、貴方の人生を大切にしようと考えるなれば、貴方の時間の使用方法を一生懸命に考える必要があります。
さて、SEの心得-5である。主題は「SEは営業と仲よくなろう」です。各項目に記載されている通りです。SEが自分で仕事を取ってこれると思わないほうが健全です。もし、そのように思っておられるなら、営業に力を軽視しています。むしろ、蔑視かもしれない。
自分たちは毎日遅くまで、会社に残って仕事をしているのに、営業は付き合いだといって客と酒をのみ、休日にはゴルフ接待だ。あれで、売るもの、顧客に提出するものは我々が作成したものに表紙をつけ、我々の計算した価格に単に2倍をかけて提出するだけ。
それでいて、顧客と会った時に言われた要求を全てSEに丸投げする。「工程を縮めろ」「安くせよ」「もっと機能を充実させよ」「明日顧客の所に行って説明せよ」「これこれの機器を使用するように変更せよ」などなど、こちらの都合も考えずに顧客の要求をそのまま受け入れそれをスルーでSEに流すだけだ。無駄な間接人員だ、と思わないほうが健全です。ほとんどは間違っています。
まず、「SE一人で出来ることは限られている」ですね。営業がしっかりとして社内の人間を確保していると、自分の所の部署に閉じたシステムではなく、社内、社外に広がったシステムが構築できる。これは本当ですよ。小さい、PC数台の仕事ならそんなことは必要がないかも知れないが、少なくとも10億円、100億円を超えるようなシステムになると、営業無しですまないです。貴方が一人でやるって??そんなことは無理です。営業部門も、これくらいの規模になると、組織を利用して複数の人間が、営業の他の部門との連携をとり、初めて商談活動に入れます。そして、全体工程を抑え、必要な部門、企業にも声を掛け、そして最終的に10億円、100億円の商談にまとめ挙げて、営業の相当偉い人を担ぎ出して、顧客のトップクラスの人野挨拶に行き、話を通して、初めてあなた達SEに、このような要求仕様書が来ているが、これに対応するシステム設計をやって欲しい、これに対応する、システム提案書を作成して欲しい。予算はこれこれだけど、また、工程はこれこれだけど。という話しになります。ですから、SE一人でやれるような規模の仕事で満足できる人はこのような他の部門、特に営業の部門と親しくする必要はないかも知れません。しかし、そうでないならば、通常の仕事のやり方として、営業を中心に動いてもらうほうがベターでしょう。
「常にお客とコンタクトをとってくれる人は営業です」。まさにその通りです。SEさんが、毎日お客と酒を飲んでいては、その会社は危ないですね。しかし、営業が毎日5時の定時に帰るような会社は危ないです。営業は、午後5時からが仕事です。それから、初めて顧客と腹を割った仕事をするのです。また、他の関連会社の担当者ともあう必要があるかもしれません。社内の、貴方の部門以外の反対派を説得する必要があるかもしれません。また、上司である社長に金を出してくれるようにお願いをする必要があるかもしれません。そのような仕事は、大抵は、午後5時以降になりますね。そして、その人は、大抵午前様になり、体を壊します。もちろん、近代的な業務フローに従って業務をやっている会社はそのような必要はないでしょうが。このように、お客の懐の中に入り込んで、お客の本当に悩みを聞き、予定・予算などを聞き出し、それを社内SEに投げる。これが本当の営業の仕事。そして、この顧客に対して「提案型のセールス」が出来るようになる。このような営業とSEのスムーズな関係が必須です。
「受注案件の真の責任者は営業である」。そうなんですよ。いくら、顧客に約束した価格や工程が厳しいものであってもそれを実現させるのが営業の仕事です。営業に飴とムチは、当然、お金です。人事権を持っているわけではないから、きちんとした仕事をしてくれる部門に対しては、なけなしの予算をはたいてでも、予算を付けます。ということは、その部門は収益が改善するわけですね。しかし、部門によっては、なんだかんだと言って言うことを聞かない場合があります。その時は、その部門が担当するべきシステムを丸まま、他の部門や、他社に投げることもあります。そうするわけは、顧客に対する約束を刺繍すると言う使命が待っているからです。ですから、この案件では大赤字になるかもしれないが、その後は、決して馬鹿なまねはしないね。なんだかんだと言っていた部門は今後は切り離されます。そして、そのかわりを果たしてくれた他の部門や、他の会社は今後の恩恵を受けることが出来ます。このようなプロジェクトのブレークダウンが出来るのは営業の力です。ですから、受注案件の真の責任者は営業です。
「営業を味方につけないと仕事は出来ない」。その通りです。少々無理を言う営業でも、きちんと対応していると、だんだんと好条件での仕事をまわしてくれるようになるのです。これを、「営業を味方につける」ということです。これをやらずして、SE部門や開発部門は成り立ちません。仕事が来て南保の物です。いくら技術力が上でも、営業に反抗ばかりしていたら、仕事が来なくなります。一方、代替案として仕事をまわしてもらった部門は、徐々に実力を上げてゆきます。そうすると、もう、「鬼に金棒」です。逆説的に言うと、営業を味方につけないと仕事は回ってこないし、その部門はつぶれますよ。
最後に、「営業が受注した案件のお金を握っている」です。一つの受注金額が100億円とすると、それの配分の役割を果たすのは当然営業です。だから、通常、当該営業のご贔屓の部門があるかもしれませんが、その部門は、見積金額に対して十分すぎるほどの予算を付けることも可能です。しかし、営業職の担当期間は、1年やそこらではありません。ですから、このようなご贔屓の部門にばかりお金を回していると、他の部門が謀反を起こします。そして、この営業は失職します。金だけが人生ではありません。体を張って仕事をするのが企業の人間です。やりがい、達成感、収益、利益、成長、組織拡大、守備範囲の拡大、などなどがその「生活規範」になるでしょうが、長期的に見ると、営業もご贔屓の部門にずーっとお金を回しすぎていると、だんだんと仕事の成果がおかしくなってきます。そうなると、顧客からの信用が急激に落ちます。社内では、実力が全てです。以前実力を持っていたとしても、社会の動向、技術の動向が激しいのが常です。ですから、部門内での利益を投入して自社開発をし、技術力を磨くことがその組織に与えられた使命です。ですから、このような努力を続けている部門との関係を密に保つことが、営業にとり必須のことでしょう。まさに、「持ちつ持たれつ」、「ギブテイ」です。
このような当然のことを長々と書いてしまったが、これは非常に大切なことです。やはり、企業では、種々な実力が全てを制すると考えましょう。変な政治力を発揮するような管理職がいる可能性もありますが、そのような管理職は、無視をしましょう。きちんとした技術的な方向付けをしてくれる、SEの親玉みたいな人を大切にしましょう。小林を大切にしましょう。













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