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【経済】

セブン銀情報、テスト対象外 三菱UFJ銀システム障害

2008年5月13日 朝刊

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 三菱東京UFJ銀行による旧東京三菱銀と旧UFJ銀のシステム統合は、1年以上をかけて準備をしてきたにもかかわらず、新システムを稼働させた12日、一部の現金自動預払機(ATM)で預金が引き出せなくなるなどのトラブルが相次いで発生。完璧(かんぺき)なシステム統合の難しさをあらためて浮き彫りにした。12月の完全統合に向け、不安を残す結果となった。

 旧東京三菱銀と旧UFJ銀は、2005年10月に合併する予定だったが、金融庁からシステム面での準備不足を指摘され、合併を3カ月延期した経緯がある。それだけに、準備を慎重に進めてきた。

 4月中旬、永易克典頭取は「ここまでは通常やらない、というところまでやった」と自信を示していた。その一方で「といっても、この(システムの)世界に絶対はない。99・9%から100%に近づけるのはものすごくコストがかかる」とも話していた。

 3300億円を投じる世界最大級のシステム統合。今回、原因となったセブン銀の顧客に対する「未記帳情報」の送信はテストの項目に入っておらず、永易頭取の懸念通り、思わぬ盲点がトラブルに発展した形だ。

 巨大な金融機関のシステムは、障害をまったく起こさずに統合するのは困難が伴う。

 これまでにも、みずほ銀行では02年4月の旧富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行のシステム再編で大規模なトラブルが起き、処理の遅れは250万件に膨らんだ。

 三菱東京UFJ銀のシステム統合は今後、7−12月にかけて段階的に旧UFJ店が移行する。新たなトラブルを未然に防ぐことができるのか、これまで以上に細心の準備が迫られることになる。

 (斉場保伸)

 

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