大洪水や干ばつ、さらにこれらに起因する穀物不作、食料難…。世界的な異常気象に関連したニュースが後を絶ちません。大きな原因の一つは二酸化炭素など温室効果ガスによる地球温暖化。七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の一番のテーマです。
風や太陽光などを活用したエネルギー生産が脚光を浴びる中、北海道の民間会社が鳥取県境に近い津山市加茂町倉見に巨大風車三十二基を備えた国内最大規模の発電施設を計画していることが明らかになりました。
四月二十九日付の本紙で紹介しましたが、発端はその数週間前の知人との雑談でした。規模に加え環境面、エネルギー事情から考えてもビッグニュース。しかし、計画が十分に固まっていなかったこと、地元説明が行われていないことなどから、関係者に慎重に取材を進めました。全容が明らかになってくるにつれ、“すごい”との思いが一層膨らんでいきました。
建設予定地の一部になっている農地は半年近く雪に閉ざされ、強風で農業も困難な場所。非常に過疎が進んだ地域とあって、今後の雇用や観光による地域活性化が大いに期待されます。
六日付の「ちまた」欄では、津山を風力発電のモデルに、岡山県を環境立県に、との声もありました。日本の風力発電はここ十年ほどで飛躍的に伸びているとはいえ、世界の風力発電に占める割合は、わずか1・4%。風力分野においてもまだまだ“資源小国”です。
森林、生態系に十分な配慮が必要なことは言うまでもありませんが、津山のチャレンジが自然エネルギー開発の起爆剤になればと願っています。(津山支社・横山史明)