【重慶・鈴木玲子】12日午後2時28分(日本時間同3時28分)、中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州ブン川(ぶんせん)県付近を震源とする大規模な地震が起きた。同省地震局によると、地震の規模はマグニチュード(M)7.8。新華社電によると、同省当局者は同省だけで死者が8533人と発表した。周辺の省や市も含め死者は8700人を超え、負傷者は1万人以上となる見込み。多くの市民が依然、生き埋めになっているとみられ、死者はさらに増えそうだ。
北京の日本大使館によると、地震による日本人の被害は確認されていない。
四川省の主な被害は▽北川県で建物の8割が倒壊、3000~5000人が死亡▽徳陽市で412人が死亡▽都江堰市の聚源中学校で900人が生き埋めになり、50人余りが死亡▽2カ所の化学工場が倒壊し、数百人が生き埋めになり、80トンのアンモニアが漏れて6000人が避難▽成都で45人が死亡、600人以上が負傷▽眉山市で8人死亡、3193人が負傷▽甘孜チベット族自治州で4人死亡。
同省以外の被害は▽重慶市で50人死亡。うち小学校2校が倒壊し児童5人が死亡▽甘粛省で104人死亡▽陝西省で61人死亡▽雲南省で1人死亡--など。
米地質調査所(USGS)によると、震源は成都の西北西約90キロで、震源の深さは約10キロ。一帯で余震とみられるM6~5の地震が断続的に続いている。
中国中央テレビによると、震源に近いブン川県周辺では多くの家屋が倒壊し、多数の死傷者が出ている。道路が寸断され、通信も不通の状態だ。救援チーム184人は地震発生から10時間以上を経た13日未明にようやく同県に入った。
胡錦濤国家主席は温家宝首相をトップとする「地震災害対策本部」を設置。温首相が成都空港に入った。温首相は「災害を乗り越えることができると信じる」と話した。人民解放軍と武装警察計9000人とヘリ4機が被災地に派遣された。
ブン川県は成都から北西へ約150キロで、人口約11万8000人。少数民族のチャン族が人口の3割、チベット族が2割弱。
人口約1060万人の成都市は、毎年多くの日本人旅行者が訪れる四川省の省都。四川料理の本場で、ジャイアントパンダの研究施設があり、三国志ゆかりの地でもある。郊外には世界遺産の水利工場跡「都江堰」や道教ゆかりの「青城山」などがあり人気を集めている。
毎日新聞 2008年5月12日 21時48分(最終更新 5月13日 1時43分)