【北京・浦松丈二】中国四川省で12日に発生した大地震は胡錦濤指導部に衝撃を与えた。胡主席は10日に日本から帰国したばかり。これから北京五輪の準備を本格化させようとした矢先の大惨事となった。
胡主席は今年に入って北京五輪を成功に導くため、積極的な首脳外交を展開してきた。3月末には自らトーチをかかげて五輪聖火を世界に送り出した。チベット暴動に関連した欧米からの批判をかわし、10年ぶりの訪日を成功させた。
胡主席は地震発生後直ちに「早急な救助と被災地人民の安全確保」を指示した。今年3月の全国人民代表大会(全人代=国会)で2期目に入った胡指導部は、経済発展一辺倒から民意重視の格差是正路線にかじを切ったばかり。国民の生命、財産にかかわる救援活動の遅れは、政権基盤を揺るがしかねない。
北京の外交筋は「貧しい内陸部の救援で胡指導部の真価が問われる」と指摘する。
毎日新聞 2008年5月13日 1時01分