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高1女子 殺される 首にテープ7重巻き 豊田の水田自転車で下校中 バッグ、15キロ離れた岡崎に清水愛美さん
3日午前5時半ごろ、愛知県豊田市生駒町の水田で、同市駒場町、団体職員清水力さん(52)の長女で、愛知教育大付属高校1年の愛美(まなみ)さん(15)が死亡しているのを、帰宅しない愛美さんを捜していた家族の知人が見つけた。首には黒いビニールテープが巻かれ、持っていたスポーツバッグも奪われていた。県警捜査1課と豊田署は特別捜査本部を設置、強盗殺人事件として捜査を始めた。遺体を解剖した結果、死因は口と鼻をふさがれたことによる窒息死と判明した。 発表によると、愛美さんはブレザーの制服姿であおむけに倒れ、首にはビニールテープ(長さ約4メートル、幅約4センチ)が7重に巻かれていた。顔には殴られた跡が数か所あり、右側頭部には、地面に押さえつけられたような傷があった。靴は両足とも脱げた状態で近くに落ちていた。 愛美さんが死亡していたのは通学路となっていた農道わきの水田で、通学に使っていた自転車もすぐ脇に倒れていたことから、下校途中に現場で襲われ、殺害されたとみられている。 愛美さんの携帯電話は遺体の近くで見つかったが、電源は切れた状態だった。家族が2日夜、電話をかけた際、当初は呼び出し音がしていたが、その後、つながらなくなったという。 清水愛美さんの遺体が発見された現場周辺を調べる捜査員(3日午前10時、愛知県豊田市で)=谷之口昭撮影
また、愛美さんのスポーツバッグは3日早朝、現場から南東に約15キロ離れた岡崎市稲熊町の川沿いの茂みで見つかった。中には教科書や参考書、弁当箱などが入っていた。 愛美さんの周辺にトラブルはなく、ストーカーなどの相談もなかった。ただ現場周辺では今年に入り、不審な男がたびたび目撃されており、特捜本部は関連を含め調べている。 同高などによると、愛美さんの自宅から刈谷市の学校までは約4キロで、愛美さんは自転車で通学していた。サッカー部のマネジャーをしており、2日は部活終了後の午後6時45分ごろ、友人らと正門で別れ、1人で下校したという。 しかし、午後7時半になっても帰宅しなかったため、力さんらが3日午前0時ごろ、同署に捜索願を出すと共に、友人らに電話するなどして捜していた。愛美さんは力さんと母節子さん(50)、兄3人の6人家族。 現場は、伊勢湾岸自動車道豊田南インターチェンジから西へ約150メートルの田園地帯で、自宅から約1キロ離れた場所だった。 15歳 医師の夢無残 高1女子殺害自宅まで1キロ 以前から不審者情報医師を志して高校に入学したばかりの女子生徒が、変わり果てた姿で見つかった。愛知県豊田市の高校1年、清水愛美(まなみ)さん(15)が殺害された事件。遺体発見現場の水田は、夜は人通りがほとんど途絶え、周辺からは女子児童らの手をつかむなどした不審者の情報が同県警などに相次いで寄せられていた。一方、高校でサッカー部のマネジャーを務め、クラスの人気者だった愛美さんの友人や学校関係者、近所の人らは突然の悲報に言葉を失い、涙をぬぐった。 豊田市駒場町の自宅から約1キロの遺体発見現場付近は、伊勢湾岸自動車道の高架橋が通り、田畑が広がっている。近くにマンションがあるが、民家は少なく街灯もない。 今年3月まで愛美さんが通っていた同市立前林中学校などによると、先月28日午後7時半ごろ、遺体が見つかった水田から約2キロ離れた同市若林東町の農道で、自転車に乗った高校2年の女子生徒が黒っぽいバイクに乗った男に「豊田高校はどこですか」と声をかけられた。女子生徒は「知らない」と答えたが、男は同じ質問を繰り返しながらつきまとい、手首をつかむなどして押し倒したという。女子生徒が抵抗したため、男はバイクで逃走した。 現場に残された清水愛美さんの自転車(3日午後1時28分、愛知県豊田市で)=谷之口昭撮影
また、翌29日にも、この近くの書店にいた女子小学生が黒いジャージー姿の若い男に手をつかまれ、トイレに連れ込まれた。女子児童は逃げて無事だった。今年1月26日にも、シルバーの乗用車に乗った40歳代とみられる男が、書道教室から帰宅途中の女子小学生の姉妹に向かって下半身を露出したという。 近くの高校3年の女子生徒は「(付近は)夜は近所の人も怖がって通らないところ。早く犯人を捕まえてほしい」と話していた。 また、今年4月から愛美さんが通っていた同県刈谷市の愛知教育大付属高校周辺でも不審者の出没情報があったといい、県警特捜本部は、これらの不審者情報と愛美さん殺害事件との関連を捜査している。 一方、愛美さんのスポーツバッグが捨てられていた同県岡崎市内の土手は、マンションや民家が並ぶ住宅街の中にある。発見したパート従業員の女性(58)らによると、バッグは土が付いて汚れ、チャックは開いており、拾い上げると中身の教科書や水筒などが落ちそうになったという。 ■愛美さん 無言の帰宅愛美さんの遺体は司法解剖された後、4日未明、無言の帰宅をした。父親の力さんは3日夜、報道機関各社に、「私たち遺族は、今深い悲しみの中におります。どうか、私たちの気持ちをお察しいただきたくお願い申し上げます。また、ご近所の皆様には大変お騒がせしまして申し訳ありません」などとするコメントを出した。 まなちゃん 明るい性格 信頼も厚く中学校の卒業記念誌に寄せた清水愛美さんの一文
愛美さんは両親と兄3人の6人家族。友人たちからは「まなちゃん」と呼ばれ、明るくしっかりした性格で級長を務めるなど、周囲の信頼も厚かった。 同級生らによると、愛美さんは豊田市立前林中学校に在学中は、卓球部の副キャプテンとして活躍、生徒会の副会長や級長を務めていた。卒業記念誌では、部活動について、「いろんな人に助けられ、たくさん支えられてきて、2年半、卓球を楽しく続けられたと思います。これからも感謝の気持ちを忘れることなく生きていきたいです」と振り返っていた。 先月入学した愛知教育大付属高校でも、さっそく級長に選ばれてクラスをまとめる一方、サッカー部のマネジャーになり、充実した毎日を過ごしていた。周囲には「人の役に立ちたい」「医者になりたい」などと話していた。 中学、高校の同級生でサッカー部員でもある男子生徒(15)は「ユニホームの洗濯などの仕事をテキパキとこなし、『ファイト』と声もかけてくれた。突然いなくなってしまうなんて」と絶句。前林中学校の石川泰弘教頭は、「面倒見がよく周囲に気配りの出来る子。高校生活に胸を弾ませていたのに」と肩を落とした。 一方、3日午後、記者会見した同高校の佐々木徹郎校長は、「大変、悲惨な事件で、残念至極というほかはない」と言葉を詰まらせた。同校はこの日、3年生対象の模擬試験を午前中で中止し、生徒を帰宅させた。全校生徒には7日朝に事件のことを伝える予定で、父母への説明会も早急に開くという。女子生徒を迎えに来た母親の一人は、「仕事が休みだったので迎えに来られたが。『気をつけましょう』とだけ言われても、具体的な対策は思いつかない」と表情を曇らせていた。 (2008年5月4日 読売新聞)
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