中国・四川省M7.8地震 中国政府、地震災害対策本部設置 人民解放軍が被災地に入る
中国・四川省で日本時間12日午後3時半ごろ、マグニチュード7.8の大きな地震が発生した。時間がたつにつれ被害情報が明らかになってきており、中国国営の新華社は、地震による死者について、8,533人にのぼっていると伝えている。
温家宝首相は「われわれは、この非常に重大な地震被害を必ず乗り越えられると信じています」と述べた。
温家宝首相は、国家の一大事に被災地へと向かった。
オリンピックを間近に控える中国を12日午後、大きな地震が襲った。
死者は数千人、マグニチュードは阪神大震災を超える7.8となっている。
中国中央テレビの記者は、地震発生直後の様子を「昼にレストランで食事をしていたら、突然テーブルが揺れ始め、床が強く振動しました。客や従業員は慌てて逃げ出し、走っているときも揺れが強くなり、階段を下りるときに、体のバランスを取るのも困難でした」と伝えた。
地震は日本時間午後3時半ごろ、四川省東部で発生し、震源は成都の北西150kmのチベット族自治州で、日本の気象庁によると、震源の深さはおよそ10kmと推定される。
広い範囲で揺れが感じられ、北京でも数千人がビルから避難した。
北京市民は「揺れを感じ、みんなで建物から出ました。以前、避難訓練をしましたので」と話した。
震源地から400km離れた村の人は、「(揺れはどうでした?)強烈でした。(村人は今どうしています?)家の外に避難しています」と話した。
中国メディアが撮影した、倒壊した中学校の写真。
四川省では、900人近い学生や生徒が生き埋めとなり、隣接する重慶では2つの学校が倒壊し、4人が死亡、100人以上がけがをした。
重慶の日本総領事館によると、四川省にはおよそ230人の日本人がいるというが、これまでのところ、けがをしたとの情報は入っていない。
重慶に出張中の日本人男性は「最初、ゆらっゆらっと感じてですね、『あ、地震だ』と気づいた感じです。揺れ幅が広くてですね、長かったんですよ」と話した。
日本の企業も多く進出する四川省は、大陸の内部で、あまり地震が起きないイメージがあるが、実は地震多発地帯であると専門家は指摘する。
東京大学地震研究所の加藤照之教授は、「この地域では、インドプレートが中国大陸に衝突しています。この衝突によって、中国大陸が変形して地震が多発するんですが、特に地震が多発する地域を『四川・雲南地震活動帯』と呼んでいます。今後しばらくはですね、たとえばマグニチュード6を超えるような余震が続く可能性がありますので、2次的な被害が大きくなるおそれがあると思います」と話した。
世界の大地震発生の分布図を見ると、地震のあった四川省のある中国南西部は、たびたび大地震が起きている。
1976年に起きた「唐山地震」では、河北省でマグニチュード7.8の大地震が起き、20世紀最大の死者数24万人の被害を出した。
最近では2007年6月、雲南省でマグニチュード6.4の地震が起き、死者3人、およそ300人が重軽傷を負った。
四川省には、パンダ保護区や数々の世界遺産があり、日本人にも人気の観光スポットだが、チベット問題の影響でツアーを見合わせている旅行会社もあり、今までのところ、日本人旅行者の被害は伝えられていない。
中国政府は、温家宝首相をトップとする地震災害対策本部を設置し、人民解放軍と武装警察隊が被災地に入った。
(05/13 01:01)