厚生労働省は5月12日、「看護基礎教育のあり方に関する懇談会」(座長・田中滋慶大大学院教授)の第5回会合を開き、全日本病院協会会長の西澤寛俊、日本医師会常任理事の羽生田俊の両氏からヒアリングを行った。
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西澤氏はまず、同協会が行ったアンケート調査への回答を基に、現在の看護教育について「基礎教育、ことに臨地実習が不十分」「知識の習得と技術の提供が分断されている」「チーム医療を実践するための知識やノウハウが不足している」「看護教員自身の臨床経験が不足している」などと問題点を指摘した。
その上で、臨地実習については免許のない学生の段階でできることには限界があるとし、何らかの形での卒後臨床研修の実施を提起。また、基礎教育の方向性として、チーム医療の観点から、重要領域における医療職種合同の教育コースを目指すべきだとした。さらに、医療の高度化や急速な進歩に対応するには、数学、化学、統計学、英語などの基礎学力を高める必要性もあると訴えた。
一方、羽生田氏は看護職員の不足・偏在に関する調査結果を基に、地域医療の確保の視点から意見を述べた。
この中で、看護教育全体では4年制大学の増加、准看護師学校の減少というトレンドがあることを紹介。その一方で、准看護師の地域医療への貢献度は現在もまだ大きいと指摘した。また、准看護師学校の入学者は近年、大学・短大卒業者や高校中退を含む中卒者が増える傾向にあるとし、これが、少子化社会における看護職員の数の確保や、人材の多様性を保つのに有効だと論じた。
また、現在の看護師・准看護師・看護補助者という3層構造機能を一層活用して看護職員を確保すべきだと訴えた。
更新:2008/05/12 20:44 キャリアブレイン
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医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。