2008年5月10日

サンフランシスコ・アルカトラズ島。かつて極悪犯を収容した孤島です。
脱獄不可能といわれた難攻不落の島から、実際は何人かが脱出に成功し、それがまた映画の題材にもなっています。
有名な「アルカトラズ島からの脱出」をはじめ、僕の好きな「ＴＨＥ　ＲＯＣＫ」もそのうちのひとつ。
今でも刑務所の跡地があり、その中で囚人気分を味わえるという、かなり見ごたえのある観光地です。
デーゲームの今日は、その島でのディナー案内が貼りだされていました。

「あのアルカトラズ島で、素敵なディナーを楽しみませんか？参加希望者はサイン・イン（名前を記入）してください」

僕はアダム（イートン・投手）が、この貼り紙をいそいそ作っているところを
目撃したため、その胡散臭さは重々承知していました。しかし、たまたまそこにいたことを
利用されて、希望者のところに名前を書かれてしまったのです。いわゆる、サクラです。

そこにふらっと通りかかったのが、ＫＫ（カイル・ケンドリック・投手）。
以前日本でもニュースになり、このメールでも触れた、「球団ぐるみのいたずらトレード劇に
引っ掛けられたお人好し」です。その彼が、興味深そうに、じーっと貼り紙を見ているではありませんか。

ああ、ＫＫ、アカン！それは！ひっかけやねん！

そんな僕の心の声は彼の背中に届くはずもなく、
ＫＫはさらに熱心に貼り紙を読むと、
「あー。ソウも行くみたい」と誰かにぼそっと話しかけると、そのまま
「ケンドリック」と名前を記入したのでした。

今夜僕は、サンフランシスコ在住の友人と、おいしいディナーを楽しみました。
ＫＫは今頃どこで何をしているんでしょうね。

カリフォルニア州サンフランシスコにて　田口壮　

2008年5月9日

試合前の練習。
外野に散らばった球を片付けるのに、バットを持って行きました。
コンコンと先で叩きながら集めていくためですが、同時に余興気分で、
飛んでくる球をバントしていた僕。とんでもなくそれている球でも「スクイズ！」と
叫びながら当てていたら、パット（ギリック・ＧＭ）に、
「ソウ・・・バットで守備したほうがいいんじゃないの？全部当たってるよ・・・」と、
ほめられたような、本来の守備をけなされたような。

ともあれ、そのあとチャーリー（監督）も交えて、
「ルール上、試合中外野にバットを持っていってもいいかどうか」で盛り上がっていたら、
「用具の置き場所といえば、俺らの時代は、ベンチにグラブは持って帰らなかったなあ・・・」と
チャーリー。
「自分の守備をした場所に置いていくんだ。それを相手チームが使う」
物資が豊かではない時代には、そうして相手チームと用具をシェアしていたのだそうです。
なんだかほのぼのとする話。

そこを通りかかったのが、チーム最年長の４５歳、ジェイミー（モイヤー・投手）です。
「おーい、ジェイミー。お前がプロに入った頃も、マウンドにグラブを置いて、相手と交代で使ってただろー？」
チャーリーのからかいに、
「だから、そんなに年寄りじゃないし・・・」と一言つぶやいたジェイミー。
たぶん、何度も何度も同じネタを連発されていると見た。

カリフォルニア州サンフランシスコにて　田口壮　

2008年5月8日

球場に着くなり、スタメンを告げられました。
レフトのバレルの休養日のタイミングに、ちょうど僕の出番が回ってきたのです。
しかし相手は絶好調右腕のウエブで、結果せっかくもらったチャンスを３タコにしてしまいました。
悔しいとか情けないというレベルではなく、もう落ち込む気力もありません。
しかし、サンフランシスコへの移動中、
おとといジェイミーに教えてもらったことのひとつひとつを思い出しながらすごしていたら、
また、救われました。

調子のいいときは、クサい球（ボールかストライクかがぎりぎりのコース）をとりあえずカットして、
ファウルにして乗り切ることができます。しかし、今の僕のような状態だと、
「見逃し三振したらどうしよう」「とにかく打ってヒットを出したい」という気持ちが先行するため、
クサい球に手を出して、それをひっかけて凡打になる、というケースが続きます。
「あーもう、三振でもいいからいっとけー！」という思いきりのない僕は、
なんだか中途半端な、煮え切らない気持ちのままで、びくびくとボール球に手を出してしまうのです。

解説するのは簡単ですが、それを実際にやれといわれると、なかなか・・・。

アリゾナ州フィーニックスにて　田口壮　

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