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【訪問介護の今(中)】ヘルパーが注射…「医療行為」求められる苦悩の現場 (3/3ページ)
このニュースのトピックス:病気・医療
■「万が一の際、誰が責任」 やはりネックは料金
厚労省が“規制緩和”ともとれる通知を出したのはなぜか。その背景について篠崎講師は「介護職員の業務範囲を拡大することによって、医師や看護師不足の解消を狙っている」と指摘する。
一方、ヘルパーが行えると認められた行為について、実習や研修が義務化されていないことも問題だ。「正しく処置を行えているのか」「利用者が急変したら誰が責任を取るのか」と不安にさいなまれているヘルパーは多い。
こうして不完全な形で業務が増える中、ヘルパーの多くが規定外の医療行為を行わなければならない実態がある。医療行為を担うべき訪問看護師は介護員の倍の利用料金で、簡単には利用しにくいからだ。
「どうしたら訪問看護師を利用しやすくなるのか。どのような条件が整えば、医療行為をヘルパーの仕事にできるのか。その両方を検討しなくてはならない」と篠崎講師は訴える。ヘルパーが危険な医療行為に手を染めないためには、その場しのぎの“業務拡大”ではない抜本的な対策が求められている。(道丸摩耶)