2008年05月12日
最近、当ブログの記事が許可無く丸ごと転載されてしまう被害に遭いました。出典元を明記し、引用の範囲を逸脱しなければ許可は要りませんが、これは明らかに引用というレベルではありません。

[AML 19494] 岩国まで行って自分の目で確かめた上で間違えた人

元記事:「岩国まで行って自分の目で確かめた上で間違えた人」

勝手にAMLに転載した「ikeda kayoko」氏に抗議します。丸ごと転載したい場合はコメント欄ないしメールで問い合わせてからにしてください。(事前に打診があれば許可を出しています)なお、引用の範囲ならば特に許可は要りません。

ただ、この転載騒動は結果として坂井貴司さん御本人からの反応を得ていますので、それを紹介しておきます。


[AML 19517] 「死んでも治らないバカ」が送ります
坂井貴司です。
 
ikeda kayokoさん[AML:19494]は、私が岩国基地で見たF/A-18ホーネット戦闘機はエンジンは1基ではなく2基だと指摘されました。私はエンジンが一つだと思っていましたけれど、それは間違いでした。
 
私は近眼ですので、F/A-18のエンジンが2基だとは判りませんでした。次は度のあった眼鏡をつけて見に行きます。
間違いを指摘していただき、ありがとうございます。
  
それから、F/A-18はエンジン騒音が、出力の大きなF-15よりも大きいということも教えていただきました。貴重な情報です。
 
でも、私はF/A-18とF-15のどっちが静かなのか比べても無意味だと思いますけれど。両方とも音速を越えます。音速を越えた時に発生する衝撃波のすさまじさを、私は岩国で自分の体で感じました。毎日これを聞かされる岩国市民や周辺の人々の苦痛を想像すると、それはたまりません。


>私はF/A-18とF-15のどっちが静かなのか比べても無意味だと思いますけれど。

おかしいですね、そもそも比べようと言い出した張本人は、坂井貴司さんの筈ですが。

>両方とも音速を越えます。音速を越えた時に発生する衝撃波のすさまじさを、私は岩国で自分の体で感じました。

航空ショーのデモフライトで超音速を出すことは無いです。あんな低空で20万人も観客が居る前で音速を超えてソニックブームを発生させていたら、大惨事ですよ・・・出店のテントは全部吹っ飛んじゃいます。そんな馬鹿な事をする筈が無いし、被害が発生していない以上、音速突破は行われていません。(昨年の高速フライパスデモではマッハ0.99とアナウンスされています。今年は速度のアナウンス自体が無かった模様)坂井貴司さん、貴方は"超音速の衝撃波"を体感していません。それでも超音速の衝撃波を体感した、と言い張るなら「衝撃波って音だけで衝撃なんて無いんですね」という事になりますが、良いんですか? 

ソニックブーム - Wikipedia

とりあえずソニックブーム(超音速衝撃波)について調べる事から始めた方が良いと思います。なお岩国FSD当日は湿度が高かったので飛行中の機体には頻繁にベイパー(霧)が掛かりましたが、あれは音速突破の証ではありません。ベイパーの雲は機体が音速に達していなくても発生します。

>毎日これを聞かされる岩国市民や周辺の人々の苦痛を想像すると、それはたまりません。

音速突破による衝撃波の被害があるとしたら、基地周辺よりはむしろ訓練場付近が多くなる筈です。離発着時は速度が乗らないのですから、基地周辺で音速を超えるケースは殆ど無いはずです。

F/A-18C戦闘機は、高度5000フィート(1524m)でマッハ0.8巡航からマッハ1.08まで加速するのに21秒掛かります。そしてこの間に5kmくらいは飛んで行ってしまいます。これは水平飛行の話ですから、離陸から上昇しつつ速度を上げていくとしたら、仮にアフターバーナー全開で飛ばしても音速を突破する頃には基地から遠く離れてしまっています。

また当然ですが、特に必要性も無いのに超音速は出しません。F/A-18C戦闘機は巡航速度がマッハ0.8〜であり、迂闊に超音速を出していると燃料を大量消耗してしまいます。だから基本的に音速突破は訓練で決められた場合でしか行いません。ですから超音速突破による衝撃波云々を問題にするなら、超音速巡航を可能とする新世代機F-22戦闘機の配備を注意した方が良いでしょう。従来機は早々頻繁に超音速を出す事はありません。

坂井貴司さんは[AML 19517]の最後で「そして、初歩的な事実の間違いを指摘されて、そこから攻撃されないよう注意しなければならないと改めて認識しました。」と締め括っています。しかし言った傍から間違っているわけですから、前途多難です。
posted by JSF at 02:30 | Comment(31) | TrackBack(1) | 軍事
2008年05月09日
5月9日の対独戦勝記念日に、ロシア軍が17年振りに大量の軍用車両を動員した大規模軍事パレードを実施しました。17年前といったら私は小学生だったので、全く覚えてない・・・時の流れを感じます。




↑大型輸送機、戦略爆撃機、戦闘機、ヘリコプターのフライパス。



↑画面固定で軍用車両が行進する様子を10分間取り続けた動画。


取り合えずここまで。まだ動画を漁っている最中です。




↑これは5/5に行われたパレードの予行演習。


なおプーチン(現在は首相職に就いた)は5/5に以下のようなコメントを行っています。


「誰も脅すつもりない」=軍事パレード復活でロシア大統領:時事通信
ロシアのプーチン大統領は5日、対独戦勝記念日の9日にモスクワ中心部の赤の広場で17年半ぶりに行われる大規模な軍事パレードについて、「武器をがちゃがちゃさせるわけではない。われわれは誰も脅すつもりはない」と述べ、「国防力復活」を示すのが目的だと強調した。


「武器をガチャガチャさせるわけではない」とは言っても、実際に戦車はタンタンキュラキュラ行進し、爆撃機はゴォゴォ音を立てながら飛んでいるわけで、慣用句的な言い回しなのでしょうか。

Путин: участие боевой техники в параде - демонстрация возможностей РФ:РИА Новости
「Это не бряцание оружием.」

「これは武器を鳴らすわけではありません」ロシア紙ノーボスチ通信の記事ではこのような感じです。

Show of military force in Red Sq. parade not saber-rattling - Putin:RIA Novosti

ノーボスチ通信の英語版では"Saber-Rattling"とあります。サーベルを打ち鳴らす、これは「武力による威嚇」という意味の慣用句です。






ニコニコ動画にも上がっていたので紹介。



↑これは最初に紹介したYoutube動画のニコ動版。
posted by JSF at 22:09 | Comment(56) | TrackBack(2) | 軍事
2008年05月07日
岩国フレンドシップデーのレポートが幾つか上がっていますが、航空ファンの報告以外にも、反戦平和派が批判対象である米軍基地を実際に見てやろうと行って来た例もあります。相手をよく知らずに批判するよりも、よく知った上で批判するという姿勢自体は大変良い事だと思います。ですが・・・

以下は坂井貴司さんの報告です。


米軍岩国基地の中で見たこと‐レイバーネット
実際に聞いた爆音はすさまじいの一言です。

「これはたまらん。毎日こんなのを聞かされたら死んでしまう!」

と思いました。そして、一基のエンジンを搭載しているF18でもこんな爆音が出るのだから、二基のエンジンを積んだF15イーグル戦闘機はもっと酷いのではないかとも思いました。


        ∧∧
       ヽ(・ω・)/   ズコー
      \(.\ ノ
    、ハ,,、  ̄
     ̄

F/A-18


2基! F/A-18はエンジン2基だから!

あーあ・・・実際に基地まで行って、飛んでる所を見て、地上展示の機体まで見ておきながら、どうしてエンジン一基だなんて誤認ができるんだろう・・・坂井貴司さん、貴方は何を見て来たの・・・

F/A-18はエンジン騒音が煩いことで有名な機体です。エンジン出力の大きなF-15よりも騒音が大きいのです。これはF/A-18が搭載するGE製F404エンジンの特性であり、エンジン騒音は出力に比例するわけではありません。なお新型のF/A-18EはF404の改良型エンジンF414を搭載していますが、騒音は更に煩くなっており、アメリカ本国ではC型からE型の機種転換時に基地付近の住民が騒音訴訟を起こし、裁判沙汰になっています。

基地騒音問題を抗議したい、戦闘機の騒音を批判したいというなら、こういうことを良く理解した方が良いと思います。それなのにエンジン搭載数を誤認するは、F-15の方が煩いだろうと間違った憶測をしてしまうはでは、説得力を持った抗議にはなり得ないでしょう。

海兵隊は将来的にAV-8Bハリアー2+垂直離着陸戦闘機とF/A-18ホーネット戦闘機の両方を、最新鋭機F-35ライトニング2戦闘機(垂直離着陸仕様のB型)に更新する予定です。F-35はエンジンが一基であり、エンジン自体の特性も騒音を抑えた設計で(静かな事はステルス性に繋がる)騒音問題が改善される事から、米軍に早急な機種更新を要求するというのも有りでしょう。とはいえF-35のB型はまだ量産段階には至っていませんが。

なお航空自衛隊は古くなったF-4戦闘機の更新を行う為、代替機の選定を行っている最中ですが、その候補の中にはF/A-18EとF-35Aが両方入っています。
posted by JSF at 12:27 | Comment(143) | TrackBack(0) | 軍事
2008年05月03日
MKV:Multiple Kill Vehicle(マルチプル・キルビークル:多弾頭迎撃体)とは、ミサイルディフェンスで用いる迎撃ミサイルに複数の誘導弾頭を搭載する構想です。敵弾道ミサイルがデコイ(囮)を放出してもデコイごと全て迎撃、MIRV(多弾頭型の弾道ミサイル)であっても丸ごと全てこれを迎撃するという、力技のシステムです。

Multiple Kill Vehicle [MKV]:GlobalSecurity.org

MKV1個あたりの大きさは手で持てる大きさで、重量は10ポンド(約4.54kg)。弾道ミサイルのMIRV用弾頭がどれだけ小型化しても1発100kg程度にはなるので、迎撃ミサイル側が多弾頭化すれば(ブースターロケットが同規模の場合)MIRV弾道ミサイルを上回る数の弾頭を搭載する事が出来ます。つまりきちんと個別誘導できるかどうかを差し置いて言うなら、多弾頭化競争はMD側が優位に立つ事になります。

アメリカはまずGBIの弾頭をMKV化させ、敵ICBMに対処する計画です。GBIのペイロードは大きい(IRBMのブースターと同等のもの)為、MKVを相当な数が積めます。一方、イージス艦に搭載するSM-3は単弾頭での現状の弾頭ペイロードが23kgと小さいのですが、それでもMKVならば5個は搭載可能で、現状より大きくなるBlock2ならば更に数が積めそうです。


日米共同開発の迎撃ミサイル、多弾頭の導入を日本が了承:読売新聞
次世代型迎撃ミサイルの多弾頭化は、ロシアや中国が、多弾頭の大陸間弾道弾(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発を進めていることに対抗し、米国が2006年ごろから検討を始めた。

当初は日本に共同開発を打診したが、日本は〈1〉共同開発を始めたばかりの「SM3ブロック2A」の2014年の開発完了が遅れ、開発費も膨らむ〈2〉北朝鮮が多弾頭型の弾道ミサイルを持っていないとみられる――ため、拒否した。

ただ、多弾頭型の開発を米国が単独で進めれば、日本が資金面で追加負担を強いられることは、当面ない。また、現在進めている単弾頭型の改良システムの共同開発に遅れが生じない見通しも立ったため、米国の方針転換を了承、事務レベルで伝えた。日本としても、将来は、「安全保障情勢によって」(防衛省幹部)、単弾頭型から切り替える必要が出てくることも考慮した。

SM3ブロック2Aは、既に日本のイージス艦にも配備されているSM3ブロック1Aに比べ、防護範囲が約2倍の1000キロ・メートル程度に広がり、大陸間弾道弾を迎撃できる。新たな多弾頭型の開発にあたっては、これまで日米が共同開発した技術などが応用されることも想定されており、米政府は「SM3ブロック2B」と呼んでいる。


北朝鮮の弾道ミサイルに対処するものとしてMKVはオーバースペックです。つまり日本は明確に、将来的に中国の弾道ミサイル(数十年掛けて最近ようやくICBMのMIRV化に成功)をMDで対抗する意志を示したものだと言えます。勿論、「北朝鮮が将来MIRVを保有した場合に備えて」という言い訳は出来ますが、中国ですら実用化に苦労した多弾頭化を北朝鮮がおいそれと実用化できるとは思えません。ただMKVが実用化できれば、北朝鮮の弾道ミサイルが無理矢理にでもデコイを積もうと問題なく無力化できるので、対北朝鮮相手の迎撃でもより確実に信頼性は上がります。

またこの読売新聞記事にはMKV以外にも重要な情報が書かれています。SM-3Block2Aの開発は順調であり、スケジュールに遅れが出ないだろうこと。Block2Aは現状のBlock1Aよりも2倍の防護範囲を持つという事。

ただ「防護範囲が約2倍の1000キロ」というのは射程の事を指すのだと思いますが、現状のSM-3Block1Aが公称数値で「最大射高160km以上、最大射程500km以上」というものであり、今年2月に行われた衛星迎撃が高度240kmで行われ、「160km以上」という意味合いが文字通り160kmを超えることを示した以上、Block2Aの最大射程も「1000km以上」であり、実際の射程はもっと長くなる可能性があります。

Raytheon RIM-161 Standard SM-3:Designation-Systems.Net

しかしICBMの迎撃は、MKVをGBIに積むのならともかくSM-3ではBlock2でもやはり難しい話で、仮にSM-3Block2が最大射高500kmあっても、ICBMはその倍以上の高度を飛行していく為、何処かの国がIRBM(中距離弾道弾)を多弾頭化させた場合、あるいは単弾頭のIRBMを山ほど撃ち込んできた場合への対処を考えているのかもしれません。

要するに結局それは、中国の弾道ミサイルを視野に入れているわけです。
posted by JSF at 06:55 | Comment(45) | TrackBack(1) | 軍事
2008年05月01日
注)来ないと予想していたのはベタ藤原さんであって私ではありません。




爆撃機B52のショー中止/日米親善デー‐スポニチANNEX
米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)報道部は1日、「日米親善デー」の5日に同基地で予定していたB52戦略爆撃機の航空ショー参加を取りやめることを明らかにした。

報道部は「スケジュールの都合」としているが、藤田雄山広島県知事や秋葉忠利広島市長らが、核兵器搭載能力のあるB52のショー参加を中止するよう、米側に文書で要請していた。


米空軍としては「去年もB-52飛ばすと予告したけど行かせなかったしぃ〜、抗議なんて無関係〜(去年は抗議自体が無かった)、大体なんで海兵隊の為に頑張らなきゃならないの〜」ってな感じでしょうか。



   / ̄ ̄\
 /   _ノ  \   <いいじゃないか。とりあえず秋葉市長に
 |   ( ●)(●)   抗議が実ったと思わせとこうじゃないか
. |     (__人__)____
  |     ` ⌒/ ─' 'ー\
.  |       /( ○)  (○)\
.  ヽ     /  ⌒(n_人__)⌒ \
   ヽ   |、    (  ヨ    | 抗議しなくても来るわけgむぐっ・・・
   /    `ー─−  厂   /
   |   、 _   __,,/     \



抗議と関係なく来なくなっても、秋葉市長の戦果という事になっています。
しかしこれ、最初から米空軍の釣りだったのだろうか・・・。


   ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  (・(・・)・) <   釣りに決まってるでしょ!
  /JベタJ   \__________

  去年も書いてあって、来なかったんだから〜 (w`;


いやまぁ、その。
posted by JSF at 23:27 | Comment(36) | TrackBack(1) | 軍事