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角膜感染症:コンタクト原因 3割が「使用法守らず」

 コンタクトレンズが原因とみられる角膜感染症で入院した患者の少なくとも3割は、レンズの使用方法を守っていなかったことが、日本眼感染症学会などの調査で分かった。視力補正用コンタクトレンズは薬事法の高度管理医療機器に指定されている。厚生労働省は販売業者に、適切な使用方法などの情報を購入者に提供することを求めているが、不十分な実態が浮かんだ。

 角膜で細菌やカビなどが繁殖した状態を角膜感染症と呼ぶ。放置すると失明の恐れもある。コンタクトレンズは角膜に直接装着するため、適切に使用しないと、角膜が傷ついて感染しやすくなる。

 調査は大学病院など全国の224施設を対象に今年3月までの1年間実施した。この間に、コンタクトレンズ装着が原因とみられる角膜感染症で入院治療を受けた重症患者161人について、医師に診断結果を聞くとともに、患者へのアンケートも依頼した。患者の平均年齢は28歳で、症状は目の痛みや充血、視力低下が多かった。

 「使用方法を守っていなかった」と答えた患者は、回答者126人のうち38人と3割いた。不適正な使用のケース(複数回答)は、寝る前に外すタイプのレンズを「装着したままにしていた」との回答と、2週間ごとに交換する使い捨てレンズを「1カ月ほど使い続けた」との回答が、それぞれ回答者全体の2割だった。

 この他にも、レンズの消毒やレンズケースの交換をしないなどの回答も多く、実際にはより多くの患者が使用方法を守っていないと考えられるという。調査に参加した下村嘉一・近畿大教授は「コンタクト利用者は、レンズが医療機器だという認識をきちんと持ってほしい。販売時の情報提供も徹底すべきだ」と話している。【下桐実雅子】

毎日新聞 2008年5月12日 2時30分

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