ロック歌手、尾崎豊さんが亡くなって16年たつ。彼が愛した東京・渋谷で、ファンの会があった。岡山県立大学の児玉由美子先生の呼びかけ。10年前から先生に誘われ、評論家の芹沢俊介さんや尾崎さんの父、健一さんらと「若者論」のシンポジウムをしてきた。その同窓会のような会でもあった。そうそう秋篠宮妃紀子さまのおば様の佐藤豊子さんの姿もあった。
校内暴力などで学校が荒れていた80年代、尾崎さんは「10代の教祖」といわれた。本当の愛や真実、誠実さとは何かを歌で真正面から問い続け、わずか26年で幕を閉じた人生。私は「まじめなファン」とはいえなのかもしれないけれど、最近、車を運転中に代表作のひとつ「ロザーナ」が聞こえてきて、突然涙がぼろぼろ出てきた。彼が嫌った「妥協の人生」をいま、自分が歩いている気がして。彼の歌は、聴く者を内省に導くのだ。
会には、尾崎さんの遠縁にあたる中村浩一さんも来ていた。岐阜の県立高校で先生をしているという。「尾崎いま教科書に載っています」と聞いて驚いた。「盗んだバイク」とか「夜の校舎 窓ガラス壊して」の歌詞に過剰反応して、80年代は放送するのを禁止する学校も多かったのに。時代は変わった。
「生徒たちは『なんだこの熱さは!』という反応なんです」。ライブビデオを教材に使っているという中村さんはいう。いまの高校生たちは尾崎さんのように「反抗」しなくなったのか。大人とぶつかり合うこともなく、断絶しているのか。中村さんはいった。「むちゃしてもいいと思います。答えは自分で見つけるしかないのですから」【支局長・滝野隆浩】
毎日新聞 2008年4月27日 地方版
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