【ベルリン小谷守彦】中国チベット自治区の暴動鎮圧問題を巡り、ドイツの有力選手の中で、北京五輪の開会式をボイコットする動きが広がっている。既にボイコットを表明しているアテネ五輪女子柔道57キロ級金メダリスト、イボンヌ・ベニシュ(27)が、このほど取材に応じ「中国は時として人権を尊重してこなかった」と、中国政府を批判した。
ベニシュによると、アテネ五輪フェンシング団体女子銀のデュプリッツァー、同五輪競歩女子5位のジーガー、ホッケー女子チームのメンバーらが、8月8日の五輪開会式に参加しない意向を示しているという。
ベニシュは「中国は五輪精神にふさわしくない国で、開催国になるべきではなかった」と語った。中国政府は4日にチベット亡命政府と対話を行ったが、同選手は「開会式不参加の意向は変わらない」と強調。開会式の際は「選手村の自室で、ベットに横たわって本でも読んでいると思う」と話した。
同選手のボイコット表明には反響が大きく、ドイツ公共テレビZDFで開会式ボイコットを表明した4月15日だけで約500通の電子メールを受け取り、大半が支持する内容だったという。ボイコット表明で、練習や競技には影響が出ていないという。
ベニシュは5月下旬から3週間、神奈川県の東海大でトレーニングに臨む。
毎日新聞 2008年5月11日 2時30分