2008.05.10 Web posted at:  14:19  JST Updated - AP
サイエンス

空中分解したスペースシャトルのHDD復旧に成功、米企業

写真
焼け焦げて破損した状態からのデータ復旧に成功したスペースシャトル「コロンビア」のHDD

(AP) 2003年に空中分解した米航空宇宙局(NASA)のスペーシャトル「コロンビア」のHDD(ハードディスク駆動装置)から、データ復旧会社が記録を取り出すことに成功し、コロンビアが行った実験の成果が米科学誌フィジカル・レビューEの4月号に発表された。

コロンビアは2003年2月1日、大気圏突入後に空中分解し、乗員7人が死亡した。HDDは機体の破片とともにテキサスに運ばれ、事故の半年後、NASAがデータ復旧会社クロール・オントラックに持ち込んだ。

復旧を手掛けた同社の技術者、ジョン・エドワーズさんによると、コロンビアから落下したHDDは、溶けて2つの金属の塊がくっついたような状態になり、とてもHDDには見えなかったという。金属とプラスチック部分が焼け焦げていただけでなく、ほこりの侵入を防ぐ側面の封印も溶けていた。

しかし実際にデータを記録する金属製のディスクはゆがんでいなかった。一部破損・欠落した部分もあったが、データが記録されていたのは記憶容量の半分程度で、破損していたのは記録されていない部分だった。コンピューターが旧式のOS(基本ソフト)であるDOSを使っていたのが幸いしたとエドワーズさんは言う。DOSはほかのOSと違い、データをディスク上に分散して記録しない仕組みになっている。

エドワーズさんはディスクを化学薬品で洗浄した後、新しい駆動装置に移し、記録されていた情報の99%を引き出すことに成功。このディスクには、コロンビアが行った液体キセノンの特性に関する科学実験データが収められていた。情報のほとんどはコロンビアが飛行中に地球に送信したが、復旧で残りの情報が取得できたため、実験結果を発表することが可能になったという。

コロンビアの残骸からはほかにも2基のHDDが見つかったが、こちらのデータは復旧できなかった。

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