
墓前に供物をささげる台湾の馬次期総統(左)=台南県の烏山頭ダム
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【台南8日=正札武晴】二十日に就任する台湾・国民党の馬英九次期総統が八日、台南
県の烏山頭ダムで営まれた、金沢市出身の八田與一夫妻墓前祭に参列した。馬氏は、日本
統治時代に同ダムなどの水利事業を完成させ、日本と台湾の人を分け隔てなく接して事業
を指導した八田技師の功績をたたえて親日ぶりをアピールし、「台湾のリーダーとして、
挑戦する課題が多くある。後世に資産を残す」と決意を示した。
「マー・インチウです。どうぞよろしく」。あいさつを日本語で切り出した馬氏は、日
本語の「一生懸命」の意味を説明し、「八田技師は台湾に青春と英知を注いだ『一生懸命
』の人」と称賛した。さらに、日本統治時代にはさまざまな評価があるとしながらも「八
田技師の功績は誰もが評価している」と指摘。八年ぶりの国民党政権となっても、良好な
日台関係を発展させたい意向を示した。
馬氏は、日台間で争いのある尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権をめぐり、台湾帰属
を強く主張するなど強硬姿勢を取ってきたことから、「反日派」として一部でみられてい
る。しかし、総統候補に決まってからの会見などで「親日派になりたい」と繰り返し、反
日のイメージ払拭(ふっしょく)に懸命となっている。