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アフガンでカルザイ大統領暗殺未遂
【バンコク=菅沢崇】アフガニスタンの首都カブールで27日、式典に参加中のカルザイ大統領を狙ったとみられる発砲があり、フランス通信(AFP)によると少なくとも2人が死亡、国会議員2人を含む10人以上が負傷した。大統領は無事だった。
イスラム原理主義勢力タリバンの報道官はAFPに対し、「式典会場にロケット弾を撃ち込んだ。現場に6人を配置した」と語り、犯行を認めた。2回にわたり爆発が起きたとの情報もある。カルザイ大統領は現場から避難直後にテレビ出演し、容疑者数人を逮捕したと語った。大統領はこれまでもたびたび暗殺未遂事件に遭っている。
式典は共産主義政権打倒16周年を記念して行われた。発砲は閲兵式を終えた大統領が登壇した直後に起き、式典は中止され、テレビの生中継も止まった。
アフガンでは昨年、タリバンによる爆弾テロが約140件起き、6000人が死亡した。01年のタリバン政権崩壊以来、最悪の事態が続いている。23日にも東部クナール州や北西部バドギス州などで警察官らを狙った爆弾テロなどが相次ぎ、13人が死傷したばかりだ。
戦闘やテロだけではない。カルザイ政権はケシ栽培撲滅や武装解除、汚職一掃などの課題を解決できず、住民の不満は鬱積(うつせき)している。タリバンはそこに付け入る戦術も展開しているようだ。
英BBCによると、南部を拠点とするタリバンは首都カブールの西隣、ワルダク州にまで勢力を広げている。貧困層に対して生活支援などを行うタリバンは中央政府よりも地元住民の信頼を集めているとされ、独自の法廷まで運営しているという。
駐留米軍司令官は24日、隣国パキスタンで発足したギラニ新内閣が武装勢力との対話路線を志向していることが、アフガンへの越境攻撃を助長するとの可能性を示唆した。来年夏の大統領選を前に、アフガンの治安情勢はさらに不安定化するおそれもある。(佐藤貴生)