存廃問題に揺れる熊本市立熊本産院(熊本市本山)の利用者らが9日、幸山政史市長に存続を要請した。幸山市長や市議会は「5月末発表の07年度決算をみて存廃を判断する」としている。
市は、産院の利用者が減少し、赤字が続いていることなどから、市民病院のNICU(新生児集中治療室)の増床や産後ケアを行う支援センターの設置と同時に、産院を廃止して診療所とする議案を06年3月定例会に提案した。しかし、存続を求める署名が10万人以上集まり、議員間でも意見が割れた。議会は産院に経営や運営の改善を求め、2年後の決算をみて改めて判断するとしていた。
約30人の利用者らは「母親の要望も多様化し、産院はその要望に応える力が他の病院よりもある」と要請した。幸山市長は「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)設置を機に、育児に悩む家族の多さが改めて突き付けられている。産院も総合的に判断したい」と述べた。【結城かほる】
毎日新聞 2008年5月10日 地方版