【ワシントン斉藤信宏】米保険最大手AIGは8日、08年1~3月期決算で、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に絡む損失が152億ドル(約1兆5700億円)に膨らんだため、78億500万ドル(約8040億円)の大幅赤字に転落したと発表した。2四半期連続の赤字で、サブプライム問題絡みの損失は07年分と合わせた累計で約270億ドル(約2兆7800億円)となり、米金融大手シティグループやメリルリンチなどに匹敵する規模に膨らんだ。保険会社のサブプライム問題絡みの損失額としては最大規模。
AIGは同時に計125億ドルの資本増強計画を発表した。このうち75億ドルを普通株発行などによる公募増資でまかなう。
保有する証券化商品の評価損が当初見通しを大幅に上回ったほか、社債などの破綻(はたん)リスクを取引する金融派生商品に絡む償却費用が発生した。AIGは、今年2月にも1兆円を超える巨額損失を計上、3月の金融システム危機のきっかけを作った。
サブプライム関連の損失では、これまでにシティが累計438億ドル、メリルリンチが累計322億ドルを計上している。4月以降、米金融市場では信用不安が後退、「最悪期を過ぎた可能性が高い」(ポールソン米財務長官)との見方も台頭していたが、AIGの巨額損失は改めてサブプライム問題の深刻さを示す形となった。
毎日新聞 2008年5月9日 10時45分(最終更新 5月9日 17時20分)