食断2008年05月09日 かつて日本では石油危機に際して石油が手に入らない「油断」を経験した。今日では食料価格の高騰にとどまらず、食料が手に入らなくなる「食断」の懸念が広がっている。 原油価格高騰の裏で、食料価格も大幅な上昇を見せ、各国で大きな波紋を呼んでいる。中国では疫病の影響もあって豚肉が異常な高騰をみせ、米国では乳製品価格が高騰、アジアではコメの値段がこの半年余の間に3倍にも跳ね上がった。 その中でフィリピンなど多くの国が食料危機に直面している。需給の逼迫(ひっ・ぱく)に加えて、エネルギーや飼料のコスト高も追い打ちをかけた。自国の食料インフレをみて、多くの食料生産国が輸出を抑制し始めたため、これらを輸入し消費する国が大きな影響を受けるようになっている。 日本でも既に小麦や大豆の高騰を受けて、外食レストランも含め、食品全般に値上げの波が押し寄せている。値上がりしても手に入るうちはよいが、バターなど乳製品の一部には市場から姿を消したものもある。世界的な食料不足を見込んで、海外では住宅が値下がりするそばで農地の買いあさりも報じられるようになった。 日本では幸いコメの生産に余裕があり、遊休農地も少なくない。米作農家の所得や資産の増加期待がもたれる。それでも必要なカロリー量の4割しか自給できていない日本で食料輸入が途絶えると、致命的な打撃となる。その時になって慌てても、食料供給がたちどころに増えるわけではない。 地方を中心に景気の先行き不安が広がる中でも、政府は無策を決め込む。今こそ景気対策、食料安全保障の観点から、ハイテクを生かした農業生産の高度化、自給率上昇を急ぐべきでないか。(千) PR情報 |
ここから広告です 広告終わり ここから広告です 広告終わり 株価検索どらく
鮮明フル画面
一覧企画特集
特集
朝日新聞社から |