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【主張】宇宙基本法 国の守りと科学の両立を

2008.5.10 03:25
このニュースのトピックス主張

 宇宙空間と宇宙技術を日本の防衛分野に活用可能とすることなどを柱とする「宇宙基本法案」が自民、公明、民主3党の賛成多数により衆院内閣委員会で可決された。今国会で成立の運びだ。

 具体的には、自衛隊が衛星を保有できるようになり、高解像度の偵察衛星の運用、弾道ミサイルの発射を探知する早期警戒衛星の配備なども可能になる。

 中距離弾道ミサイルを一昨年、連続発射した北朝鮮をはじめとする近年の情勢や将来の国際動向を展望すると安全保障上、現実的な判断である。宇宙利用を平和目的に限定した昭和44年の国会決議による壁を乗り越える道が開けたことを評価したい。

 ねじれ国会の中、安全保障に関する基本政策に対し、与野党が歩み寄って合意にこぎつけた意味も小さくない。

 宇宙基本法の基本理念は、国民生活の向上と経済社会の発展に置かれている。宇宙開発は、一国の科学力と技術力を示す総合的な指標であり、若い世代が科学技術に夢を広げる糸口となる未来への領域でもある。

 法案通りに成立すると、内閣に首相を長とする「宇宙開発戦略本部」が置かれ、担当大臣も任命される。この新体制は、強力な牽引(けんいん)力を持つはずだ。そこで、いくつかの注文をつけておきたい。

 第1には、日本の宇宙開発をバランスよく発展させていくことである。予算配分が防衛分野に偏り過ぎて、宇宙科学や宇宙ビジネスの分野が先細りになるようなことがあってはならない。

 日本の宇宙科学は、世界をリードする位置にある。これを損なうような事態を招けば、あぶはち取らずになってしまう。研究者の配置も10年、20年先を展望してビジョンを描くことが必要だ。

 第2には防衛分野での透明性を可能な限り確保することだ。残念ながら、現在運用中の情報収集衛星については、その成果がまったく国民に伝わっていない。

 宇宙開発は巨費を伴う。実効的なチェック機関や機能がなければ、税金が有効に使われているのかどうかもわからない。加えて、極端な秘密主義は、技術研究の発展を停滞させがちだ。

 機密なしの防衛はあり得ない。その一方、透明性なしには科学技術の発展も望めない。この二大命題の両立に、関係者は議論を重ね、知恵を絞ってもらいたい。

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