三年七カ月の東京支社勤務を終え、四月に岡山市に帰ってきました。久しぶりに中心市街地を歩くと、ホテルやマンションなど見慣れない高層ビルが目につき、まるで“浦島太郎”の気分です。
JR岡山駅一帯の変ぼうも驚きです。“駅中”に新設された商業施設や駅東の家電量販店、駅西の再開発ビルが目を引き、全体的におしゃれで華やいだ雰囲気が漂います。
もっとも、慣れ親しんだ商店街や商業施設に目を向けると、空き店舗が増えたようで気になります。
岡山市に尋ねると、表町、駅前、奉還町の三商店街を対象にした春と秋の調査で、二〇〇五年春まで七十店前後だった空き店舗が、同年秋には八十店を超えて、その後も同水準という説明でした。
背景には、国の構造改革などで東京一極集中が加速し、地方の活力が吸い上げられた影響があるかもしれません。空き店舗の増加は全国の地方都市に共通する難題です。ただ、あらためて街を歩いて感じるのは、相変わらず表町と岡山駅という二つの拠点の一体感が弱く、相乗効果を発揮しきれていないということです。
岡山市は現在、昨年十一月の「まちづくり三法」の全面施行を受けて、中心市街地活性化基本計画の見直しを進めています。また来春には政令指定都市に昇格し、これまで以上に独自のまちづくりが可能になります。
いまこそ、中心市街地を活性化する好機です。二つの拠点の一体感をどう高め、街全体の活力を生み出していくか―。岡山市の取り組みが注目されます。
(編集委員・中原一夫)