【モスクワ杉尾直哉】ロシア下院(定数450、欠員2)は8日、メドベージェフ新大統領が提案したウラジーミル・プーチン前大統領(55)の首相就任を承認した。前日、連続3選を禁じた憲法に従って大統領を退任したばかりのプーチン氏は、任期のない首相として長期的に権力の中枢に居座ることが可能となった。
採決では、下院の7割を占めるプーチン氏が率いる与党「統一ロシア」など、392議員が賛成。反対は共産党の56議員のみで、圧倒的な支持を受けた。
これに先立ちプーチン氏は約45分演説し、「(大統領として)多くを達成したが、残した課題は大きい」と述べ、昨年約12%と深刻なインフレの抑制や、教育・保健医療改革、軍人の昇給、産業の近代化を公約した。外交には触れず、「世界経済安定化のため、ロシアを国際的な金融センターの一つにする」と述べた。
一方、出席したメドベージェフ大統領は「我々のタンデム(双頭体制)は強化される」と述べ、プーチン氏との密接な協力関係の下に国政運営を行う考えを示した。
プーチン氏は99~00年にエリツィン政権の首相を務め、首相就任は2度目。ただ、2期8年間、大統領を務めた直後であり、メドベージェフ大統領以上の決定権を実質的に握りそうだ。
毎日新聞 2008年5月8日 21時10分(最終更新 5月8日 21時55分)