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‘夢のインク’で日本独走の15兆ウォン市場に挑戦
韓国電気研究院のイ・コンウン博士(38)は最近、幸せな悩みを抱えている。 自分の研究チームが最近開発したカーボンナノチューブインク技術の移転を希望する企業が列を作っているからだ。 現在まで技術移転を依頼しに来た企業は23社にのぼる。 イ博士は1-2カ月以内に技術を移転する企業を選定する予定だ。 カーボンナノチューブインクは、ビニールやプラスチックなどにコーティングすれば薄膜に電気が流れる画期的な素材だ。 タッチスクリーンや曲がるディスプレーなど応用分野は限りない。 しかしこうした素材はこれまですべて日本に依存してきた。 イ博士が初めて応用分野として注目したのはタッチスクリーンだ。 「莫大な市場を形成しているタッチスクリーン素材の独立が求められる時期です。 日本がこの素材を独占しているので、日本に嫌われれば一瞬にして商品を生産できなくなることも考えられます」 イ博士は、自身のカーボンナノチューブインクは世界的にも独歩的で、従来のタッチスクリーンに使用する技術を全く適用していないため、素材の独立を実現できる、と強調した。 タッチスクリーンに使用する鉱物のインジウムは貴重金属で、中国でのみ産出される。 イ博士の技術を使用すれば、こうした貴重金属を探し回る必要もない。 カーボンナノチューブはいくらでも合成できるからだ。 カーボンナノチューブはこれまで夢の素材と呼ばれてきたが、タッチスクリーンへの適用には難しい問題があった。 ビニールなどに半永久的にコーティングする技術が開発されていないからだ。 一部の研究者がカーボンナノチューブをビニールにコーティングしたが、すぐにはがれてしまった。 イ博士はこれを溶液にし、接着力も高めることで、こうした問題を解決した。 イ博士は「カーボンナノチューブの研究を始めてから9年目で突破口を見いだした。煤の塊りのように固まったカーボンナノチューブを溶液に平均的に分散させるのが最も難しかった」と語った。 カーボンナノチューブは数ナノメートルにすぎない極微細粒子だが、複数の粒子が集まれば、お互い散在せずに固まろうとする力が非常に大きくなる。 イ博士は化学薬品5種類を混ぜた溶液を作り、その中にカーボンナノチューブ粒子を平均的に分散させ、ビニールにもよく付くようにしたのだ。 この溶液が‘秘密のカギ’となる。 溶液をビニールにコーティングすれば、ビニールは透明でありながらも電気が通る薄膜に変身する。 イ博士がタッチスクリーン分野を初めて応用対象に選んだのは、各種電子機器のディスプレーが速いペースでタッチスクリーンに変わっているからだ。 イ博士は今後7-8年間で各種ディスプレー用材料が今のインジウムからカーボンナノチューブに変わるとみている。 「カーボンナノチューブインクを量産し、またタッチスクリーン用に曲がるフィルムを作ろうとすれば、解決しなければならない技術的な問題が新たに生じるはずです。 しかしそれを解決するのはそれほど難しい問題だと思いません」 イ博士は「自分の技術が商用化されれば、内需だけでなく世界市場でも日本の独走を防止できる」と自信を見せた。 イ博士の技術が応用できる伝導性フィルムの国内市場規模は年間2兆4000億ウォン、世界市場では約15兆ウォン(約1兆5000億円)にのぼる。 中央日報 Joins.com 2008.05.09 19:08:22 |
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