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県民世論で「包囲網」 結集、政官界に衝撃2007年9月30日

 高校歴史教科書の「集団自決」検定問題で検定意見の撤回を求める県民大会が11万6千人(主催者発表)を集めたことは、政界・官界に衝撃を与えた。当初「どれくらい集まるか」と危ぶまれた大会に「こんな大勢の集まりは見たことがない」と仲井真弘多知事が驚嘆するほど結集、「国としてもこれだけの参加を見捨てることはできない」(仲里利信大会実行委員長)と関係者の期待も高まる。中央政界も動きは急で、撤回に難色を示す文部科学省に対し、県民世論で「包囲網」を敷いた格好。政界を中心に事態打開を図る動きが今後、一気に加速しそうだ。

 与野党の県選出・出身国会議員は大会後「週明けに動くことになるだろう」と口をそろえた。超党派での要請行動の動きが本格化する見通しだ。

■風雲急
 これまで関心が乏しかった中央政界も、民主、共産、社民、国民新の野党各党が代表質問で取り上げる予定になった。各党国会対策委員長レベルでの協議を求める動きもある。菅直人民主党代表代行は「超党派での国会決議提出も視野に入れる」と発言。事態は風雲急を告げつつある。
 与党も動きは急だ。自民党の山崎拓氏が文科相の訂正勧告を求めたことに注目が集まる。同党衆院議員は「文科省令は『学習を進める上に支障となる記載を発見した時は、文科大臣は訂正を勧告できる』と定める。県教育長が反対する検定は『重大な支障』を来している。この規定を使わない手はない」と話す。同党の国会議員は「渡海文科相が(山崎氏と)同じ派閥ということは大きい」と口をそろえる。その渡海文科相は就任前「この検定はおかしい」と周辺に漏らしたこともあったという。
 公明党筋も「検定意見に政治介入できない以上、訂正勧告を求める方法しかない。党内でも広げていく」と水面下で働き掛ける構えを見せた。

■読み誤り
 大会に参加した県幹部は参集規模に驚いた。「県民がこれだけ党派を超えて集まり、インパクトがある。検定を変えさせた文科省の役人は(沖縄の民意を)読み誤った」と話す。
 別の県幹部は「このところ基地問題を中心に沖縄は中央から無視されたところがある。知事本人が行けば首相も会うのではないか。(総裁選で)『地方の声を聞く』と言った手前、福田内閣も沖縄の声を聞き、点数稼ぎに利用するのではないか」と政界への影響を推測してみせた。
 ただ、この日も文科省は「今回の検定は審議会の審議に基づいて検定意見が付された」と述べるだけ。かたくなな姿勢を変える気配はない。県民大会代表が上京する際の政府首脳の対応、政界の取り組みが鍵を握りそうだ。
(普久原均)


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