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「日中の発展は共通利益」 胡主席、早大で未来志向の講演 '08/5/9

 日本を訪問している中国の胡錦濤国家主席は八日、東京都新宿区の早稲田大学で講演し、日中両国間に根強い警戒心があることを念頭に「日中は相手の発展を脅威でなく、チャンスとみなすべきだ」と述べ、両国の発展が双方の共通利益になるとの見方を示した。両国関係については「互いに手を携え、美しい未来をつくり上げることを願ってやまない」と友好関係発展への強い期待感を表明した。

 講演は、胡主席が日中関係改善に向けた自らの考えを両国民に直接語りかけることを目的に開催。歴史問題や中国製ギョーザ中毒事件などで傷ついた国民感情の改善に全力を挙げる姿勢をアピールした。

 講演前に大学前で学生と警官隊がもみ合う騒ぎがあったが、胡主席は予定通り会場に入り、講演後には福原愛選手と卓球を楽しむ余裕も見せた。

 講演で胡主席は、中国の軍事力増強への懸念が日本国内で強まっていることを意識し「中国の国防政策は防御的だ。永遠に覇権を唱えない」と主張、理解を求めた。

 また、旧日本軍の「中国侵略」に言及した上で「中国に莫大(ばくだい)な災難を与えるとともに、日本人にも被害を与えた」と述べ、歴史認識の重要性を指摘。その一方で「われわれは歴史を銘記することを強調しているが、恨みを抱き続けるためでなく、歴史をかがみに未来に向かうためだ」と未来志向を強調した。

 日本については「世界の注目を集めるような発展を遂げた」と高く評価。対中円借款などを通じて中国の近代化促進に貢献したことを「中国人民は永遠に銘記している」と強調し、日本の省エネルギーや環境対策の技術についても「世界一流。中国人民が学ぶべきものだ」と称賛した。

 講演が行われた早大の大隈講堂は厳重に警備され、出席者は学生より中国共産党関係者や日本政府関係者、メディアの姿が目立った。




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