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東芝、売上高10兆円計画 デジタル強化 11年3月期

2008年05月09日

 東芝は8日、今後3年間の経営方針とする中期計画を発表した。11年3月期に連結売上高10兆円を目指す。東芝は、投資を得意分野に絞り込む「選択と集中」で他社に先んじてきたと評価されているが、今回は、出遅れ気味のデジタル製品の強化を掲げたのが特長だ。

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グラフ  
写真今後3年間の経営方針を発表する東芝の西田厚聡社長=8日、東京都内

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 東芝が4月末に発表した08年3月期連結決算の売上高は7兆6681億円。10兆円にするには、3年で3割の成長が必要だ。大手電機メーカーで売上高10兆円は、日立製作所が07年3月期に達成し、松下電器産業が10年3月期での目標に掲げている。

 東芝の事業は、テレビや携帯電話といった「デジタル製品」、半導体などの「電子デバイス」、原子力が主力の「社会インフラ」に大別される。西田厚聡社長は05年の就任以来、半導体と原発で他社に先行して投資し優位を築いてきた。だが、この日の発表では「成長が望めるデジタル製品分野を第3の柱にする」と強調した。

 実際、昨年同時期の3カ年計画では「09年度末に3兆4千億円」としていたデジタル製品の売上高目標を「10年度末に4兆1千億円」に引き上げた。他の2分野より大幅な積み増しだ。営業利益への貢献も拡大を見込む。

 東芝のデジタル製品は、将来の収益源に期待していた次世代DVDのHD―DVDからの撤退を決めたばかり。かけ声の裏付けはあるのか。

 各社の主戦場になっている薄型テレビでは「液晶テレビのシェアは国内2位」(西田氏)と好調さをアピールする。パネルは今後は他社から調達するが、得意の半導体技術を生かしたという画質の高さを売りに、欧米での拡販も進めるという。

 しかし、08年3月期のテレビ事業は100億円程度の営業赤字。ある市場調査会社の役員は「30型台で量は出たが40型以上のパネル調達に苦戦し利益が出なかった。ブランド力の差も影響した」とみる。

 携帯電話も民間調査会社の統計では東芝の07年度の国内シェアは10.1%。上位3社が伸ばす中で1ポイント低下した。

 西田氏は「まずは売り上げ重視。デジタル製品市場は毎年20%以上伸びており、成長は可能だ」と強気の姿勢を崩さないが、追い上げる立場での戦いは厳しくなりそうだ。

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 中期計画では、半導体分野もデジタル製品同様の成長を見込む。

 主力製品のNAND型フラッシュメモリーは、08年3月期の1年間では販売価格が50%も下落。同社の08年3月期連結決算の営業利益を押し下げる要因となった。09年3月期も40〜50%の下落を見込み、足元の採算は苦しい。

 そこで、コスト削減のため記憶容量を増やせる回路の微細化を急ぐ。回路線幅43ナノメートル(ナノは10億分の1)の製品の量産比率を9割以上に高める計画も、半年早めて08年度末までに実現するという。

 軽量、省電力で衝撃にも強い特性を生かしてノートパソコンに記憶媒体としての搭載を進め、現在主流のハードディスク駆動装置(HDD)からの置き換えを図る。

 原子力事業は、米国市場を中心に15年までに33基の受注を計画。米原発メーカー、ウェスチングハウス買収投資の回収期間を当初予定の17年から13年に短縮できるという。(湯地正裕)

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