岡谷市議会社会委員会(田中肇委員長)は8日、市役所で岡谷市医師会(辛京碩会長)と懇談した。医師会側は、医師不足など医療を取り巻く厳しい現状を説明したほか、同市の新病院建設計画に対して「新病院の将来像が見えてこないことに頭を悩ませている」と懸念を示した。
社会委員会が医師会に要請して初めて開いた。議会側は社会委員6人と正副議長が出席し、医師会側は役員を中心に開業医と勤務医、事務長の7人が参加。委員の質問に医師が答える形で進行した。
辛会長はあいさつで、諏訪地方の医療の現状について「国の医療政策の失敗で、病院や開業医の財政状態が悪くなっている。医師や看護師の不足はこれから目立ってくるだろう」と指摘。ある勤務医は「医師不足が解消されるまでには15年以上かかる」との見通しを示した。
同市が市立岡谷病院と岡谷塩嶺病院を統合して建設する新病院に関しては、医師会側から発言が相次いだ。
「医師派遣を大学に頼るのは難しい。自治体独自で医師のモチベーションを高める施策が必要」「医師が来たくなる、大学が派遣したくなる魅力的な病院にすべき」といった意見のほか、「岡谷病院では300床のうち、半数が社会的入院。(高度医療を担えば)新病院は150床程度でいいと思うが、社会的入院の皆さんの受け皿が必要。市全体の福祉と医療をセットで考えて」とする要望もあった。
「岡谷市の財政状態で病院建設と運営が可能か、早急に明らかにすべき」「地元出身の医師が帰りたくなる魅力あるまちづくりも必要」といった指摘も。分娩(ぶんべん)を継続するために、岡谷病院の小児科と産婦人科の存続を訴える開業医がいたほか、地域医療に対する患者や住民の理解と協力を求める医師も目立った。
田中委員長は「医療を取り巻く環境はめまぐるしく変動している。諸問題について理解を深めることができた。今後の議会活動に資していきたい」と話していた。