東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社説・コラム > 社説一覧 > 記事

ここから本文

【社説】

原油暴騰 『省エネ』投資で活路を

2008年5月9日

 ニューヨーク原油先物相場の最高値更新が続いている。輸入国は省エネ徹底や自然エネルギー導入で乗り切る以外に有効な手だてを持ち合わせていない。足踏みが続く日本の資源政策が心もとない。

 今週、国際指標の米国産WTI原油先物相場が一バレル=一二四ドル目前に上昇した。今月初めより一〇ドル以上、暴騰とも言える値上がりだ。日本はその背景にある需給構造の変化を見据え、次の一手を打たねばならない。

 原油を増産し価格を引き下げてほしい。消費国のこの要請は「供給量は十分」とする産油国にあっさりと一蹴(いっしゅう)された。対話の不調は投機資金が市場に流れ込む一因ともなり、国内ではガソリンの平均価格が暫定税率の復活もあって一リットル=一五九円の最高値を記録した。

 二〇〇七年の産油国収入は一兆ドルをゆうに超えた。サウジアラビアなど石油輸出国機構(OPEC)加盟国を中心に、巨額の富を政府系ファンドで運用する産油国が増えている。原油枯渇や温暖化防止による需要の先細りに備えた国策であり、当面は原油安を招く増産に応じるとは想定しにくい。

 非OPECのロシアも天然ガスのカルテルを結び、欧州などを揺さぶる戦略を描いている。原油や天然ガスの約八割が資源国の国営企業の管理下にあり、ここは省エネや自然エネルギー投資を関連企業に徹底して促すほかあるまい。

 日本には一九七〇年代の石油危機を教訓に脱石油を進めてエネルギー消費に占める原油の割合を半分以下に抑え込み、価格高騰への抵抗力を強めた実績がある。エネルギー効率に換算すると米国の二倍、ロシアと比べ十八倍という世界最高の水準を達成している。

 しかし、太陽電池は発電、生産量ともに首位の座を欧州に明け渡した。風力発電の新設は温暖化対策に目をそむけてきた米国が〇七年に世界一に躍り出ている。

 福田康夫首相は今通常国会で「日本の環境技術を世界が必要としている」と述べたが、現実には脱石油の技術を生かし切れずにいるのが実情だ。

 その遅れを取り戻すため、太陽電池の生産コストを電力料金並みに半減させる試験が民間で進められている。さらに、技術に磨きをかけねばならない。

 日本の技術を駆使すると世界の原油需要の三割が節約可能との試算もある。長期をにらんだ技術革新により、二酸化炭素の排出抑制に加えて、ビジネス拡大の活路をも見いだすことが不可欠だ。

 

この記事を印刷する