何とも嫌な気分にさせられる数字です。「学校裏サイト」と呼ばれる携帯電話の掲示板やブログで、中傷や嫌がらせを受けた経験を持つ岡山県内の高校生は約一割に上ることが、県教委の初の実態調査で分かりました。
学校裏サイトは、生徒らが独自に開設した電子掲示板。文部科学省の全国調査によると、確認分だけで三万八千を超えます。情報交換の場である半面、匿名性を悪用して同級生に悪口を浴びせたり、個人情報を暴露したりと、いじめの温床になっていることが問題視されていました。
岡山県教委の担当記者だった十五年ほど前も、校内暴力やシカト(無視)など、いじめ問題は学校現場につきものでした。しかし、裏サイトに代表される「ネットいじめ」は、大人の目に触れにくい分、いじめの質が深刻化、陰湿化しているようです。
気になるのは学校側の対応。県教委の有識者会議が昨年十月行った提言は、生徒への誹謗(ひぼう)中傷を見つけた場合、削除依頼や警察への相談といった迅速な対応を取るよう指摘しています。にもかかわらず県教委の調査では、単に「見守る」との回答も目立ちました。
もちろん、学校現場だけに責任を負わせるわけにはいきません。発見時にどのように対処すべきか、行政や家庭も含め真剣に考えるべきでしょう。たとえ、決め手を欠いたり、いたちごっこに終わるとしても、毅然(きぜん)とした態度でネットいじめ防止に取り組むことが大人社会に求められているはずです。
(政治部・桑原功)