地球温暖化の影響だろうか。大型連休は汗ばむ陽気が続き、夏本番に向けて先が思いやられた。
それでも風を受け悠然と大空を泳ぐこいのぼりを眺めていると、明るいニュースを思い出した。北海道の風力発電会社が、津山市に大規模な風力発電所を建設する準備を進めているという。
来春にも着工予定で、三十二基の大型風車を備える。二〇一一年末の本格稼働後の発電量は、約五万五千世帯の年間消費電力を賄えるというから頼もしい。
温暖化対策の一環で二酸化炭素を排出しない風力発電は、太陽光発電と並ぶ新エネルギーとして期待を集める。世界風力エネルギー協会(ベルギー)によると、昨年一年間に世界で新設された風力発電施設の能力は、大型原発の十五基分に匹敵する。
米国、中国、インドなどの伸びが著しい。これに対し、日本は立ち遅れが目立つ。昨年の発電容量の増加量は米国の三十八分の一、中国の二十五分の一しかない。この差は考え方の違いにあるようだ。
日本は温暖化対策に主眼を置くが、米国、中国などはエネルギー安全保障の観点で国が戦略的に支援しているといわれる。原油高などに対応した危険分散である。温暖化対策をからめた「一石二鳥」の危機管理だ。日本の戦略性の乏しさが風力発電を通して透けて見える。