2008年05月09日 更新
結婚で大変身!松井秀がメジャー6年目初のア・リーグ首位打者
松井秀は二回、ラッキーな16試合連続安打。4打数1安打だったが、ついに打率でリーグトップに立った(撮影・小倉元司)
ヤンキースタジアムの電光掲示板には松井秀のヒットを表す「HIT−DEKI」の文字が躍った
【ニューヨーク7日(日本時間8日)】ヤンキースの松井秀喜外野手(33)がインディアンス戦に「5番・DH」で先発出場。チームは0−3で敗れたが、4打数1安打で打率を.339とし、米大リーグ6年目、メジャー通算713試合目で初めてア・リーグの打率トップに立った。前日6日に同一シーズンのメジャー自己記録となる15試合連続安打をマークしたが、2005年−06年にまたがっての自己最長記録の16試合連続安打にも並んだ。
◇
ポトリ。
これが“頂点”の音だった。二回だ。ヤンキースタジアムにため息が漏れる。松井秀の打球は遊撃後方にフラフラと上がった。一塁に走りながら、何度か顔を左に向けて打球を目で追う。ところが…。白球は左翼手と遊撃手の間に落ちた(記録は遊撃内野安打)。
同一シーズンとしてはメジャー自己記録となる16試合連続安打で打率は.339。イ軍のビクトル・マルティネス捕手(29)を抜いて、自身大リーグ6年目で初となる“首位打者”に躍り出た。
「バッティングとしては良くなかったのですが、なんとか(野手の間に)落ちてくれた感じ。ラッキーだと思います。(リーグトップから)落ちないように頑張ります。(打率首位の意味については)きょうが最終戦だったらよかったな、と」
だが、3点差を追う六回二死二、三塁の好機で空振り三振。チームも0−3で敗れたため、試合後の会見で笑顔はなかった。
「何かを特別に変えたわけではありません。ある程度の(いい)状態が続いている感じです」
昨年までと比べて技術的に大きな変化はない。メジャーリーガーにしては地味な練習が連続試合安打と高打率を支えている。屋外でのフリー打撃の前に、室内練習場のケージにこもってティー打撃。その際、試合用よりも約16センチ短い、70センチほどのバットを使用する。
「短いから手元まで球を引きつけないとうまくバットに当たらない。打撃で大切な球を最後までよく見て呼び込んで打つ、という意識を高めるのに最適なのです」
大きな変化があったのは私生活だ。3月に結婚、夜型の生活は一変した。規則正しい食事と睡眠に甘い時間…。そして何より、周囲に「結婚して成績が下がった」といわせない男の意地が今年のゴジラを支える。
打率だけではない。出塁率も.424とア・リーグのトップで“2冠”だ。「でも…。やっぱり勝つことの方が大切」。自分の数字よりチームの勝利。世界一奪回、本当の“頂点”はそこにある。
★ゴジラTALK
――二回は幸運な安打になった
「バッティングとしては良くなかったのですが、なんとか(野手の間に)落ちてくれた感じ。ラッキーだと思います」
――3点を追う六回の好機は空振り三振
「せめてファウルにしたかった。チャンスで三振したのは残念。一本出ていれば試合展開が変わったかもしれない」
――7日(日本時間8日)終了時点で打率はア・リーグのトップ
「落ちないように頑張ります。きょうがシーズン最後の試合だったらよかったな、と」
――好調の秘密は
「何かを特別に変えたわけではありません。ある程度の(いい)状態が続いている感じです」
――安打がなかなか勝ちにつながらないが
「自分が打とうと打つまいと、負けは負けです。自分がいいプレーをするのは大切ですが、勝つことの方がもっと大切です」
■ゴジラ好調の秘密
ヤ軍のケビン・ロング打撃コーチ(41)は、松井秀の打撃に関して「痛めていた右ひざを手術し、リハビリも成功したことで下半身が安定した。だから(体の)中心軸がぶれない。今はバットも遠回りしないから、引っ掛けるような打球が少ない」と分析する。こまやかな指導で今後もゴジラの打撃を支えていく。
■その時
松井秀がアドバイザリー契約を結んでいるミズノの担当者・宮本雄司さん(31)も、都内で『ゴジラ、首位打者』の知らせに喜んだ。「松井選手は今季からバットのグリップエンドの膨らみをやや大きくしました。その改良が好結果につながっているのかもしれません」と証言。宮本さんは近日中に渡米して松井秀に会い、新バットの感想などを聞く予定だ。
■地元紙は
8日付のニューヨーク各紙は、ヤンキースの敗戦を大きく報道。『ニューヨーク・ポスト』紙(電子版)は「打線は王を助けられず」の見出しに、六回のチャンスで三振に倒れた松井秀の写真を添えて記事を掲載した。『ニューヨーク・デーリー・ニューズ』紙(電子版)は、敗戦記事とは別に松井の好調ぶりを紹介。連続試合安打を自己最長の「16」に伸ばしたことや、その16試合で打率.356、9打点の成績、今季の本拠地での打率が.387であることなどを記した。
■GODZILLA in USA
「う〜ん」。クラブハウスの出入り口にはってある紙を見て松井秀がうなった。8日(日本時間9日)のイ軍戦後に移動するデトロイト(ミシガン州)の気候に関する注意事項が書かれていた。
夜の気温は10度以下に冷え込むと予想されており「冬服を持っていくのが良いでしょう」とは担当者のアドバイス。確かに厚手のコートが必要なほど寒いのだが、デトロイトの後は常夏のセントピーターズバーグ(フロリダ州)だ。
「冬から一気に夏だからなあ。どうしようかなあ…」と遠征の荷物に頭を悩ませるゴジラだった。
★最優秀救援投手にリベラ
米大リーグは、4月の最優秀救援投手にセーブ機会のあった8試合すべてでセーブを記録したヤンキースのマリアノ・リベラ投手(38)を選んだ。
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