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【この現場】コメディカル不足を訴える東京大学医科学研究所の上昌広・特任准教授 (1/2ページ)
医師不足がマスコミで大きく取り上げられているが、医師以外の医療スタッフを指す「コメディカル」の人材不足も同様に深刻だ。
病院の看護師や薬剤師などコメディカルの人数が少ないほど、医療の質の確保が困難なことは国際的な常識である。にもかかわらず、日本の病院の看護師数は欧米に比べて圧倒的に少なく、100床当たりの看護師数は英・米・独・伊の平均138人に対し、わずか34人(平成15年)で、その格差は拡大傾向にある。
同様に薬剤師数が多いほど患者の安全性は高いが、100床当たりの薬剤師数は米国の平均9・8人に対し、日本は2・5人。日本では欧米ほど安全性の高い医療が期待できないのは当然といえるだろう。
ただコメディカルが医師と違う点は、その養成数は十分だが就業数が不足していることだ。WHO(世界保健機関)によると、日本の看護師の登録数はOECD加盟国中2位(平成18年)。養成数は飽和状態に近づいているが、人口1000人あたりの看護師就業数は19位にとどまっている。
この乖離(かいり)について、看護師の国家試験合格者数は毎年約4・6万人に対し、病院に勤務する看護師数はピークの25〜29歳でも1歳あたり平均2・7万人しかいない。病院に就職した新卒看護師の約11人に1人が1年以内に退職すると指摘されている。特に30代での離職が多く、病院への復帰はごくまれという。
また、薬剤師は離職率は高くないものの、毎年の国家試験合格者約8000人のうち病院に就職するのは約1300人で、病院の採用が限定されている。