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  「高齢者医療制度」混乱の真犯人 04.27.2008
     



 この4月の最大の話題は、「ガソリン値下げ」になるか、と思われたが、実際には「高齢者医療制度」ではなかったか。各紙も社説で取り上げた。
朝日:4月9日
 「高齢者医療―お年寄りの不安を知れ」
日経:4月14日
 「高齢者の「医療不安」和らげる努力を」 
読売:4月17日
 「高齢者医療制度 混乱の原因は“お役所仕事”だ」

 今回は、この問題の今後の対策を議論することが目的ではない。むしろ、読売社説の路線を拡張してみたい。すなわち、この問題のような混乱がどうして起きたのか、それを防止する責任はどこにあったのか、そして、その防止は可能か、それは誰の責務なのか、といった議論をしてみたい。


C先生:この問題だが、一部には、今回の高齢者医療制度そのものが問題だ、すぐにでも撤回すべきだという声もあるが、これまで退職後の高齢者が加入する国民健康保険というシステムはいずれ崩壊するから、どこかの時点では対応しなければならなかったことのように思える。しかし、理念的な検討は不十分だった。

A君:理念というか、より大きな議論としては、米国流の医療制度に行くのか、それとも、最終的には、北欧流の医療制度に行くのか。

B君:言いかえれば、小さな政府を目指して、米国流で行くという現在の政策を本当によしとするのか。それとも、OECDにも指摘されてしまったが、現在の消費税額では日本はやっていけない。いくらなんでもなんとかしろ、という方向に転換するのか。

C先生:現時点だと、道路特定財源の問題があって、税金には無駄が多いということになっているから、すぐには増税議論が社会的に認められるとは思えない。道路以外にも、いくつかの特別会計は存在する訳で、それが利権になっていることも事実だ。一方で、環境税のように、導入が必須の税制もある。

A君:日本全体の方向性を決める議論が行われる以前に、この高齢者医療制度が始まったのが、そもそも問題だったということは言えますね。

B君:それに加えて、現在のネジレ国会が大きな影響を与えている。混乱を作り出したい政党がいるのだから、ある程度、混乱するのも仕方がない。

C先生:しかし、正直な話、今回の高齢者医療制度については、非常に唐突という印象があったが、諸君らはどうだ。

A君:実際、自分は無関係と無意識でそう思っていたのかもしれませんが、まったく知りませんでした。

B君:同様。

C先生:まず、どのような経緯があったのか、それを調べてくれ。

A君:まず、分かったことは、高齢者医療制度の根拠となっていた法律は、老人保健法(昭和五十七年八月十七日法律第八十号)であるとうことですね。そんな法律があったのですね。
 その大々的な改正が、名称変更を含めて平成十八年六月二十一日法律第八十三号として行われた。実に、ほぼ二年前です。それも周知徹底など準備に時間がかかることが予測されただろうからまあ当然なんですが。

B君:当時の政治的状況を少々振り返ってみたい。
 安倍内閣が平成18年9月26日に成立するのだが、当時はその3ヵ月前。すなわち、移行期にあった。要するに、第三次小泉内閣の末期であった。国会の勢力図は、平成17年9月の郵政解散をうけた衆議院選挙で自民党は296議席を獲得し、議席占有率は61.7%となっていた。このような状況での審議だったようだ。
 そして、記録によれば、参議員での法案の採決は6月20日10時38分に行われ、出席者数231に対し、賛成131、反対100。与党の賛成多数によって可決され成立した。

A君:足立信也議員(民主)の反対の要旨などから判断すると、政治手法としてはいささか乱暴で、委員長の職権乱用といった問題もあったようで、まあ当時から社会的影響が大きい制度であるとの認識がなされていたのではないかと思われます。

B君:その後、この政治的な状況が大きく変わってしまうのが、昨年の夏の参議院選挙。ネジレ国会のスタート。自民党の議員にも、この高齢者医療制度がまずいということに気付いた人が多くいたようで、このままでは次の衆議院選挙を戦えない、として、政府は改正案を出して国会を通している。

A君:本来、この問題は、どんな国を作りたいのか、その中で、どんな医療制度が適切なのか、というかなり根源的な議論が必要であるにも関わらず、国会議員は、「次の選挙が戦えない」ということだけが判断基準になって、法律改正までやってしまう。

B君:国全体がポピュリズムになっていると、政治問題を取り上げるとき必ず嘆いているが、今回もそれと同じ状況があったということか。

A君:ですから、色々な妥協が入り混じって、くっきりした像が見えない制度になっていることは、その通りでしょうね。

C先生:さらに混乱があったようだ。この高齢者医療制度は、国が法律を作り、政令を定めて、それでハイ終わり、というものではない。
 この法律を実施するには、自治体における条例の整備が必要だった。

A君:その通りですね。ところがきわめて不思議なことが起きて、国会で大反対した民主党も、自治体の議会においては賛成している。その理由については、民主党厚木市議会議員・佐藤知一氏のブログに見られるように、自治体レベルでこの制度が成立しないと、より大きな混乱が予想されたから、という理由のようですね。

B君:厚木市議会だと民主党は与党なのだろう。となると、反対もできない。国会では野党、自治体では与党ということになると、民主党内部にもネジレ現象が起きていて、統一的な動きができない。こんなときこそ、理念に基づく議論が必要なのだが、混乱を起こすことが最大の目的とする議員と、必ずしもどうではない議員が同居しているのだろう。

C先生:まあ、政治的な状況をまともに反映したネジレた状況が作り出した制度であることは間違いなさそうだ。

A君:事実、本年2月28日には、次の日経ネットの記事に見られるように、野党は廃止法案を国会に提出している。

野党、後期高齢者医療制度で廃止法案を提出
 民主、共産、社民、国民新の野党4党は2月28日、4月から始まる後期高齢者医療制度の廃止法案を衆院に提出した。(1)75歳以上の被扶養者からの保険料徴収(2)70―74歳の医療費の窓口負担の1割から2割への引き上げ――などを廃止する内容だ。

 同制度は75歳以上が対象で、保険料負担増などへの不安が広がっている。政府は現在、保険料を払っていない約200万人について、保険料徴収を半年間凍結するなどの激変緩和措置を講じるが、野党は「制度そのものの廃止が必要」と判断した。

B君:こんな状況で良い法律ができるとも思えない。

C先生:一方の当事者とも言える、医師側はどうだったのだろう。今回の高齢者医療制度が走り出すと、高齢者の医療費全体は減るものと想定されるので、反対ではあっただろうが。

A君:医者側はどうかですか。たまたま見つけた大阪府保険医協会は、平成19年6月にかなりわかりやすいパンフレットを作って、100円で販売していたようです。しかし、インターネットで見ることができるのは、目次までで、本文を見ることはできない。

B君:何をやっているのだろうか。そんな情報は重要な当事者としてタダでWebに上げるのが当然だろう。

A君:表現がいささか医師向けになりすぎていて、公開できなかったのでは。

B君:そんな妙な勘ぐりをされるだけで、医師側として不利益だという考え方がなかったのだろうか。

C先生:一方、報道機関はこの問題をどのように取り扱ったのか。まず新聞はどうだろう。

A君:現時点に近いところから行けば、読売新聞の4月17日の社説では、お役所仕事に最大の責任あり、という主張ですね。

B君:中身というよりは、情報伝達に問題あり、ということか。

C先生:中身は、色々な哲学があり得るから、なんとも言い難いところはある。情報伝達に問題があったのは事実だろう。

A君:この制度は、先ほどから出ているように、国は法律と政令を定め、そして、これまで国民健康保険を運営してきたのは市町村だったのですが、それを広域化して広域連合というものを都道府県単位で作って、そして、その内部では、保険料の統一化を行う。それによって、ある市町村が超高齢化した場合にも、保険料が極端に高くなることを防止するという考え方があるわけで、それを切り捨てるのも難しい。

B君:ただ、財務省の役人あたりだと、高齢者は趣味で病院に行っているという思いから、高額な医療費の削減を目指している人もいるかもしれない。日本の医療費の窓口負担は高いとされているのだが。

A君:医療費が高い安いといった比較は、相手をどの国にするかで全く違う。比較をアメリカとやるのは間違いで、日本としては、さて、どの国でしょうか。まあ、イギリス+ドイツ+フランスあたりとの比較が妥当なのではないでしょうか。

B君:確かに、北欧とやるのも間違いかもしれない。税金が極端に高い国なのだから。

A君:そんなことを言えば、欧州は消費税は25%ぐらいが標準ですから、もう比較不能でしょうか。となると、消費税が同じレベルのアメリカと比較するしかない。

C先生:まあまあ。論点がずれている。情報伝達にお役所仕事的に取り組んだのが責任だというのが、読売の社説。そのお役所仕事と言われたのは、国というよりも、制度の責任を持たされた都道府県であり、直接住民とコンタクトする役割を負わされた市区町村の責任ということになるか。

A君:まあ、そうですね。市区町村のWebを見ると、この文章は分かりにくいなあ、というものが多いですね。

B君:75歳以上の高齢者になると、より分かりやすい文書を作らないとダメだ。

C先生:居住している目黒区の例だが、75歳以上の人口が24000人ぐらいで、これは、驚くことに、人口の1割よりわずかに少ない程度。この人数に情報を完璧に伝達せよ、と言われてもこれは難しい。

A君:しかも高齢者ですからね。

B君:説明にも時間が掛かりそう。

C先生:区の職員が一人一人を説明に回ることを考えても、実際、外部を回ることを専門でできる人数が10人居たとしても、1人あたり2400人。1日6人回ったとしても、400日か。無理だな。

A君:単に、お役所仕事だったからダメとも言いにくい。なんらかの根本的な問題を含んでいたように思えますね。

B君:大体、新聞は、4月1日以前に何を報道したのだろうか。

A君:まず、これが見つかりました。
 朝日新聞は平成20年1月28日の社説で、以下のように述べています。
 「4月からは、75歳以上の高齢者が入る県単位の高齢者医療制度が始まる。中小企業のサラリーマンが入る政府管掌健康保険は全国一本だったが、これも10月から県ごとに運営される。市町村の国民健康保険や小さな健保組合も、県単位への統合を進めている。
 したがって、医療の負担と給付を決めるのも県の仕事にするのが自然だ。
 医療への診療報酬は政府の審議会で決めている。これを、政府が決めるのはその基準にとどめ、知事が最終的に決めるようにしたっていい。必要とされる医療は地域によってさまざまなので、地域の実情に合わせやすくなるだろう。」

 さらに、昨年10月23日の記事では、
高齢者医療負担増、「半年凍結、次の半年2割」 自民案
 高齢者の医療費負担増の凍結問題で、自民党は22日、来年4月に予定されている75歳以上の約200万人からの新たな保険料徴収について、「凍結期間は半年とし、次の半年(08年10月〜09年3月)は本来の額の2割だけを負担してもらう」との案を公明党に示した。

 与党プロジェクトチーム(PT)では、凍結期間を半年とすることで調整していたが、公明党から「9カ月に延ばすべきだ」との意見が出ていた。このため自民が、「半年凍結」の方針を維持しながら、追加の負担減を盛り込んだ妥協案を提示した。

 もともと、08、09年度の2年間は、新たに保険料を支払う高齢者の負担を本来の半額とする激変緩和措置が盛り込まれている。今回の自民案でまとまれば、「最初の半年間は負担ゼロ、その後の半年間は2割、09年度の1年間は半額」という段階的な減免措置が取られることになる。


 読売新聞は、平成19年2月6日の記事「75歳以上の医療制度」で、以下のような記述を行っている。

根強い懸念
 先進国を見ると、独立した高齢者医療保険制度は、国民皆保険制度がない米国に65歳以上と障害者を対象にしたメディケアがある程度。日本医科大の長谷川敏彦教授(医療管理学)は「超高齢社会のパイオニアである日本の取り組みは、世界が注目する実験だ」と話す。

 一方で、医療費適正化を最優先課題として掲げることへの懸念もある。

 浅野史郎・前宮城県知事は「長野県の医療費の安さが手本とされるが、医療費適正化が目的だったわけではなく、地域医療を充実させた結果に過ぎない。高齢者医療の目標は、健やかな老後を県民に送ってもらうことだ」と話している。

重くなる負担
 後期高齢者医療制度によって、高齢者の負担はどうなるのだろうか。

 厚生労働省の試算によると、制度が発足する2008年度の保険料は、厚生年金の平均的な年金額(年208万円)の受給者は月額6200円、基礎年金受給者(年79万円)は同900円となる。また、自営業者やサラリーマンの子供と同居する基礎年金受給者(子の年収390万円)は、同3100円となる。試算はあくまで目安で、収入が高かったり、在住する都道府県の高齢者医療費が高い場合は、保険料も高くなる。

 75歳以上の窓口負担は、現行と同じ原則1割(高齢者夫婦2人世帯で年収約520万円以上の現役並み所得者は3割)だが、70〜74歳は原則2割に上がる。

 医療、介護の自己負担の合計額が高額になった場合の軽減措置も新たに設けられる。しかし、高齢化の進行により、医療、介護ともに保険料のアップが見込まれるため、高齢者の負担は重くなりそうだ。


 同じく、読売新聞であるが、平成19年11月29日には、

高齢者医療の負担凍結…国費1460億円必要 現役世代は負担増

 政府は、70〜74歳の医療費窓口負担を来年4月から1年間、原則1割のまま据え置くことを決めました。高齢者にはうれしいニュースですが「選挙目当てのばらまき」などの批判も聞かれます。

 現在、窓口負担は69歳までが3割、70歳以上は現役並み所得者(夫婦世帯で年収約520万円以上)3割、そのほかが1割です。2005年末、75歳以上を対象とする新高齢者医療制度を論議する過程で、従来は2割だった現役並み所得者の窓口負担を06年10月から3割に、70〜74歳を08年4月から原則2割とすることが決まりました。

 「高齢社会の進展で大幅な伸びが予想される医療費について、高齢者にも応分の負担を求める」との考えからで、世代間の負担の不公平を解消するのが狙いでした。

 ところが、今年7月の参院選で与党が惨敗したことから、「これ以上の負担増を求めては衆院選を戦えない」といった声が高まり、自民・公明両党が急きょ、負担増の凍結を決定しました。

 それによると、70〜74歳の窓口負担を09年3月まで、原則1割に据え置きます。また、新たに保険料を支払う75歳以上の高齢者についても、軽減策を講じます。

 窓口負担の凍結では、約500万人が恩恵を受け、保険料軽減の対象者も約200万人に上ります。保険財政の不足分を補うため計1460億円の国費が必要で、現役世代には負担増となります。

 高齢者の家計は格差が大きく、「応分の負担」を一律に決めるのは容易ではありません。資産が多く、余裕のある高齢者も少なくありませんが、年金収入は概して低いため、現役世代に比べ、医療費の負担はこたえます。例えば、訪問診療を月2回受けた場合、窓口負担が1割だと月約6000円ですが、2割では倍にはね上がります。

 窓口負担増には、あちこちの医療機関に行くハシゴ受診の抑制効果もありますが、海外に比べて日本の窓口負担は高く、「過度な受診抑制を招きかねない」との意見もあります。このため、民主党などは負担増の廃止を求めています。

 朝令暮改とやゆされないためにも、「応分の負担」の根拠について、政府は明快に説明すべきです。(阿部文彦)


C先生:なるほど。新聞は、新しい制度などの報道をまずまずの頻度で行っていたようではあるが、残念ながら、このような大きな混乱状態が起きるという予想を持つところまでは無かったようだ。

A君:混乱は、市区町村の手際の悪さが大きな原因だったですからね。

C先生:もう基本から考え直すことにしよう。
 今回の場合、高齢者の一人一人に情報を伝達するために、何をやるべきだったのだろうか

A君:具体的に情報伝達の他の事例も一緒に検討したいですね。

C先生:区民全員に情報を伝えることの困難さは、区の廃棄物の審議会長の立場から経験をしているのだ。目黒区でも今年の10月1日から、ゴミの分別方法を変えるが、その情報伝達に頭を痛めている。完全な方法があるはずもない。ごみ減量課の職員は、これから10月まで、少なくとも土曜日を休むことはできない。地域説明会が100回程度行われるからである。

A君:それは大変だ。

B君:それでも、町会やマンションの自治会などの組織がしっかりしている地域ではなんとか伝達が可能ではないだろうか。

C先生:その通り。地域に力があるところは、なんとかなるのだ。そして最悪の問題は、管理人も居ない、自治会もないワンルームマンションだ。目黒区にある全12万世帯のうち、問題になりそうな単身世帯が実に半数近い5万7千世帯を占めるのだ。

A君:しかし、ゴミ問題は、全国一斉にということは無いので、個別に努力をするしか方法は無いのですが、今回の高齢者医療のような場合であれば、もっとなんとかなったのでは。

C先生:そう思う。個人的には、テレビが余りにも無責任だったのではないだろうか。

A君:今回の件に関して、NHKがどのような対応をしたかを調べてみると、実施された4月の直前、3月21日に時事公論で野村キャスターが解説している。それ以前にも昨年2回、この話題が取り上げられています。しかし、十分ではないのが明らか。

B君:OK。ちょっと民放を調べた。今回の件でもそうだが、一方的に政府に批判的なテレビ朝日のWebサイトを検索してみると、3月31日に、放送とは無関係と思われる資料がアップされているが、ANN NEWSに取り上げられているのは、いずれも混乱の状況を報道するものばかりでだ。これでテレ朝として自らの責任を果たしたと言えるのだろうか。

C先生:民放は、まあ、扱わないな。これは、現在の日本にとってものすごく重要な問題だと思う。

A君:その通りでしょうね。最近、新聞を読まない人が増えている。テレビでしか情報を得ないといった人も増えている。インターネットでしか情報を取らない人もいますが。

B君:今日(4月26日)新聞を読んでいて、テレビは勝手だな、と思う記事があった。それは、2011年からアナログ地上波が止まることに関してだ。今日の朝日新聞に詳しく取り上げられているが、画面上でテロップを使って、極めて積極的に伝達を行う方針のようなのだ。これは余りにもテレビの身勝手なのではないだろうか。

A君:それは民放だけの話ではないですね。自分に関係することだと、テレビは一所懸命になるが、公共的なことは、NHKはまだしも、民放は全く駄目。

B君:大きな社会的なシステムの変更があるときには、テレビは、それをアナログ地上波停止なみに取り扱うべきなのではないだろうか。

C先生:まあ、その通りだろう。しかし、それを国が強制すると、また表現の自由がどうのこうのという議論になりがちだ。

A君:民法と言えば、確かにスポンサーに依存して番組の制作・放映を行っていますからね。

B君:だからといって勝手なことができるという訳ではない。なぜならば、電波という限られた公共の資産の割り当てを受けて使っているからだ。そんな意識が十分ではないのではないだろうか。公共への貢献をもっともっと自主的に意識すべきだ

C先生:もしも、今回の高齢者医療制度の新設のようなことが、テロップでしばしば流れるような状況であれば、もっと問題が早く解決しただろう。

A君:ただ、すでに指摘されているように、混乱を作りたい政治的な状況もあるので、そのサイドからみれば、テレビは黙っていることが利益であった。

B君:確かに、どんなものでも政治的な要素はある。となると、民放が、公共的な関与をすることなど、あり得ないということだろうか。

C先生:とはいえ、メディアも国民が何を言うかを見ているところはある。民放だって同じだ、やはり国民がメディアに対して、何を要求しているか、それをはっきりと言うべきなのだ。バラエティー番組が欲しい人もいるだろうが、それだけが国民の要求ではない。少なくとも、限られた資源を特権的に使っているということでは、テレビ会社は、自らが批判する国の利権と同じような利権構造の上に成り立っていることをもっと強く意識し、それを自主的な決断によって、行動として社会に示すべきだろう。