破れかけの服にボーボーのヒゲ面…松本潤さんとは見間違うほど、彼のキレイさを封印して臨んだのは映画「隠し砦の三悪人」。「映画の現場に入ると毎回、オレこんな汚かったっけって思いました(笑)」。扮(ふん)するのは金掘り・武蔵。戦国乱世で一獲千金を求め、野性的なカンと粘り強さで苦難を乗り越えていく。
「恵まれた環境ではないのに、武蔵は根が腐ってない。お金も何にもない中での小さな喜びや笑えることを、とても敏感に見つけられる、そういうところが好きでした。時代は違うけど、僕らと考え方や感覚が全く違うわけではないんだなと思うこともありました」
時代劇というよりは、スリルあふれるアクションエンターテインメント。絶体絶命の道中、一国の姫君・雪姫(長澤まさみ)と出会い、初めは敬遠していた彼女に次第にひかれていく武蔵。「僕の中でも自然でした。身分が違いすぎるけれど、相手のまっすぐな思いや、実はつらい経験をしたんだと知ったときに、気持ちが動くのはすごくよく分かる」。男勝りで民思いの雪姫。「気丈な女性ってカッコいいんだけど、強さの裏に弱いところもあって、僕は強さともろさのギャップにひかれるんだと思う。そういう瞬間って、みんなに見せるわけじゃないから、見られそうで見られない。だからそれが見えたときに助けてあげたくなる」
「仕事は、これをこの場でどうやるかって集中していろいろ頭を使うから楽しい」と言う松本さんは、あきらめずにピンチを切り抜ける武蔵とも重なる。「仕事をしていると、なんだかなぁと思うこともたくさんあるけど、負けずに腐らずに生きていることがあきらめないってことかな(笑)」。大事にしたいのは疑う目だと言う。「否定する意味ではなく、うわべで“あーそうですよねー”で終わらせたくない。なぜ今こうなっているのか、今どういう状況で、この人は何を言おうとしているのか、そういう裏側というか、本質を見る目は持っていたいです」