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「生きることあきらめないで」/妊娠中に脳梗塞の母親が闘病記出版
- 暮らし・話題
- 2008/05/08
妊娠中に脳梗塞(こうそく)を患い、後遺症と闘いながら子育てを続けた相模原市在住のじゅん(49)=本名・佐々木淳子さん=がこのほど、発病から出産までをつづった闘病記「29歳 脳梗塞 出産」(日本文学館刊)を出版した。
じゅんさんが脳梗塞になったのは、二十九歳だった一九八九年五月。三人目の子供をおなかに宿したまま、自宅で倒れた。一命は取り留めたが、右目の視力を失い、右の手足にもしびれが残った。再発の不安から過換気症候群も発症した。
それでも、子供はあきらめなかった。家族の支えで同年七月、自然出産で次男貴浩さんを産んだ。じゅんさんは「人生で一番うれしかった」と振り返る。
再発の影におびえながら、懸命に育児と家事をこなした。「いつまで生きられるか分からない」という切迫感から、日々感じたことを書き留めた。気付くと原稿用紙三百枚に達していた。
家事の合間に闘病記としてまとめ二年前、コンクールに応募したところ入賞。校正にさらに二年かけ今年五月、出版にこぎ着けた。
貴浩さんは今年、大学に進学。著作で初めて母の苦労を知ったといい、「母の愛情の大きさに気付いた」と貴浩さん。自ら命を絶つ人が後を絶たない世相に心を痛めているというじゅんさんは、「自分の体験を通し、あきらめずに生きていくことの大切さを伝えられたら」と話している。
四六判、百四十四ページで千五十円。問い合わせは日本文学館電話03(4560)9700。
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