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November 30, 2007
売れる本を作る条件とは? その2 再現性あるベストセラー作りの5か条
今回は、ベストセラー作りについて、気づいたことをまとめていきたいと思います。
以前、ベストセラーについてまとめたエントリー、売れる本を作る条件とは? ~ ランキング・ヒットチャートとジップの法則の関係から、早くも7か月がたちました。
業界標準として、ベストセラーとは刷り部数が10万部を超えたものを指すようです。13万部の勉強法のあと、何冊か本を出しましたが、それぞれ、もっとも少ない少子化本で1.5万、もっとも多い時間投資法で8万部くらいで、10万部の大台に乗るものは出ませんでした。
そしてこの11月、お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践を出しましたが、こちらが発売10日目で10万部の大台にのり、今年二つ目の大ヒットになりました。
以下、経験則を踏まえて、「再現性あるベストセラー作りの5か条」をまとめてみました。
「再現性あるベストセラー作りの5か条」
1. その本の顕在・潜在マーケットが十分に大きいこと。
2. その本が独自の世界観、新しいコンセプトを切り開いていること。
3. 出版社のPush以上に、市場からのPullが強いこと。
4. その本のサポーターがどんどん広がること。
5. 1-4の条件づくりに、関係者が一丸となってコミットすること。
以下、順番に説明します。
「再現性あるベストセラー作りの5か条」
1. その本の顕在・潜在マーケットが十分に大きいこと。
これ、ものすごく大事です。というのは、例えば、私の著書の中で「決算書の暗号を解け!」という本がありますが、やはり、この本で10万を狙うのは少し、がんばらないといけません。なぜなら、決算書を読みこなしたい、そして、最低限の基礎的な会計の知識はある、という人は分母として、けっして多くないからです。
一方、10万部に乗った2冊。忙しいけれども、勉強をしたい人はたくさんいます。お金を銀行に預けているけれども、本当は投資をしたい人はたくさんいます。
したがって、まずはターゲットの時点で、ポテンシャルの多くは決まってしまうのです。とはいえ、「決算書の暗号を解け!」は私が作りたくて作った本なので、はじめ、1万部行けば御の字と思っていましたから、他の本の人気にも支えられて、早々に2万部売れたことは、本当によかったと思って感謝しています。
とはいえ、売れる、ということを第一義に思ったら、やはり、売れる素材を売る必要があります。
2. その本が独自の世界観、新しいコンセプトを切り開いていること。
そして、より重要なのはこの2です。1だけの本だったら、世の中にあふれかえっています。2匹目のドジョウ系の本がこの類です。
しかし、その中で売れるものと売れないものを分ける違いは、その本が独自の世界観があるか、新規性があるかということに尽きます。
勉強法は「設備投資」という概念を持ち込みました。お金は銀行に預けるなは、「金融リテラシー」という概念を多くの人に伝えました。このように、何らかのキラー・アイデアがあるかないかがとても重要です。
時間投資法もいい本だと自分では思いますが、それでも、キラー・アイデアという視点から見ますと、ベストセラー2冊に比べると、やはり弱いことは否めません。
つまり、1の条件と2の条件を合わせると、売れる本というのはありそうでなかった本ということになります。
3. 出版社のPush以上に、市場からのPullが強いこと。
これは出版社の方、みんないいますが、売れない本は、どんなに広告しても売れないそうです。広告すると、これまでその本を知らない人に知らせることができるので大事なのですが、それでも、売れる本以外は広告をしても、ムダだそうです。
そして、市場からの引きが強いかどうかは、多くの場合、キャンペーンをしていない中小型書店でどのくらい、よく売れているかが鍵になるそうです。
確かに、勉強法も、お金は銀行に預けるなも、発売初期に、中小型店での品切れが相次ぎました。すなわち、宣伝をしていなくても、目利きが本屋で目にして手にとって、買っていく本かということが大事なのです。
この初速、特に中小型店での初速の売上は、とても大事です。市場での目利き力は侮れないものがあると、つくづく思います。
4. その本のサポーターがどんどん広がること。
そして、売れる本は、その本のサポーターが自己増殖的に広がっていきます。クチコミでブログで、書店で、どんどん広がっていくのです。本は単価が小さいため、テレビコマーシャルなどを打てるわけではありません。新聞広告もありますが、より大事なのは、新聞広告やが大事というよりは、新聞広告をきっかけに買った人が、どれだけ回りに勧めてくれるかも、より大事でしょう。
5. 1-4の条件づくりに、関係者が一丸となってコミットすること。
この条件が一番大事だと思います。これまで、私が知っている範囲で、偶然生まれたベストセラーはほとんどありません。多くの場合は、ベストセラーになりうる1-4の要素を持った本について、まずはそういったコンテンツをていねいに作り込むこと、そして、つくったものをていねいに市場に伝えること、の2つを著者・編集者・販売関係者が一丸となってコミットしたときにのみ、爆発する可能性が生まれると感じます。
以前のエントリーにも書きましたが、偶然売れることはないとはいいませんが、それを必然にするため、著者は本を書く努力と同じくらい、売る方にも努力をするべきというのが私のポリシーです。なぜなら、どんなにいい本を書いたと思っても、それが読者に届かなかったら、ただの自己満足だからです。
まだまだ研究途中ですが、いろいろな仮説・検証をしながら、引き続き、効果的な本作りとそのマーケティングについては探っていきたいと思います。
2007 11 30 [2.実体験観察から] | 固定リンク
コメント
投稿者: よし (Dec 10, 2007 6:09:57 PM)
勉強本以来、著書全て読ませていただいています。
勉強本は大変良かったのですがその後手を出した
インディで行こうがちょっと期待はずれでしたのでw
どうかなと思っていたところ、お金は銀行へ預けるなで
再びファンになりました。
大変良い本だと思います。
中学や高校でももっと金融リテラシーをあげる
ような授業を取り入れて欲しいですね。
だってインデックスファンドで積み立てるにしろ、
早ければ早いほどいいですもんね。
これから決算書本の読書を開始します!
投稿者: じゅんち (Jan 6, 2008 9:44:33 PM)
はじめまして。昨年、ムギ畑会員になった者です。
私がこの本を購入したきっかけを紹介させてください。
直接のきっかけは日経新聞の広告です。そして記憶を
たどれば、間接的なきっかけがそれ以前の日経新聞の
記事にありました。確かに以前から自分の中にニーズ
はあったのですが、購入には至らず、広告などのきっかけ
が重なって後押してもらった感じです。
今、夫にこの本を読ませています。特に最初のトコロを
しっかり読むように!と言っておきました(笑)。金融
リテラシーが、余裕のある育児にまで係るということと、
自分の労働時間を管理することの重要性についてしっかり
考えてもらいたいからです。
と、偉そうに言ったものの、私もまだまだこれからです。
投稿者: zxcvaq (Jan 9, 2008 6:46:21 AM)
この本を読む価値は、特に第四章の「金融を通じた社会責任の遂行」にあると思います。私たちにできることは限られています。しかし1票に政治を変える力があるように、われわれの行動が企業を変え、ひいては社会を変えることができるという考えに、深く共感します。自分のこどもたちが大きくなったときに、社会がよりよい方向に進んでくれたらと思います。
投稿者: インディゴかあさん (Feb 3, 2008 5:45:26 PM)
こんにちは。
初めてメールいたします。
「お金は・・・・」と「猪口さん・・・・」
を読みました。大変参考になりました。
投稿者: N.kojima (Feb 13, 2008 11:15:50 AM)
こんにちは、今日から、コチラのブログ
必ずチェックします!
投稿者: しらとし (Feb 29, 2008 9:08:36 AM)
ふと書店で手にした本に、
これだけ精力が込められているならば、
私がこの本を買った理由が、分かるような気がします。
ご健闘をお祈りいたします。
投稿者: たみろん (Mar 23, 2008 10:52:44 PM)
「お金は~」から読ませていただいてます。
金融リテラシーの不足により、今後の人生、生活が心身ともに侵害されることに不安を感じました。
けれども、この本を読んで、そして「インディ~」
「年収10倍アップ~」なども読ませていただいて、不安を乗り越えられる光が見えました。
これから、少しずつ実践に移すことで今後の人生をよりよいものにしていけたらと思います。
久々にいい本に出会えました。
この出会いに感謝です!
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