2008年05月03日

スペインGP裏話

Ted Kravitz's Barcelona notebook

ITVスポーツのピットレーン・レポーター、テッド・クラヴィッツが最新のノートでスペインGPから舞台裏を紹介する。

マックス・モズレーの近況
マックス・モズレーマックスはモナコGPに出席するつもりらしい。ということは、数週間以内に彼の話を聞くことができるだろう。

バーニー・エクレストンは、バルセロナでマックスの問題についていつものように消火活動にいそしみ、モズレーを辞任させたいスポンサーやマニュファクチャラーの頭を冷やそうとしていた。

スペインGPのパドックにはドナルド・マッケンジー(CVCのボス、実質的にF1の権利を全て所有している人物)が来ていたが、彼はF1に対する自身の投資を守り、F1の魅力をこれまで以上に高めようとしているので、マックスの状況に関して意見を持っていることだろう。

マックスはいずれにしろ来年の任期が終われば引退すると述べている。これは興味深い戦略であるが、彼の戦略はそれしかないのだろう。

FIAのメンバーは「ああ大丈夫。来年まで彼に留任してもらい、後継者は選挙で選ぼう」と言うのか、暫定会長を選出してもう一度選挙をするという面倒な状況を選ぶのだろうか?

マクラーレン
ハミルトン、マクラーレン、バルセロナありがたいことに、ここで2月に起こったような人種差別的行動は繰り返されなかった。しかしハミルトンのファンがアロンソのファンに嫌がらせをされたという報告があった。それがなければスペインのファンは素晴らしかったのだが。

僕自身、金曜日の2度目のフリー走行が終わってルイスがピットレーンに歩いて戻るとき、口笛や野次や下品なジェスチャーという嫌な行動を目撃した。

これはかなり不愉快だった。そして、最も高価なシートであるはずのメイン・ピット・ストレートの観客による行動だったことにさらに驚いた。

いずれにしろ、このスペイン人のアンチ-ハミルトンの辛辣な批判は的外れだ。アロンソとの仲がこじれたのはルイスではなく、マクラーレンとロン・デニスなのだから。

しかし、シルバーストンで同じことがアロンソに起きるとは思わない。なぜなら、特にアロンソは僕を含め英国人のファンが多いからだ。

レーシングに関しては、マクラーレンはマレーシアとバーレーンで道を見失った。一方フェラーリとBMWはスピードと自信を手に入れた。バルセロナのレース後、ロン・デニスとルイス・ハミルトンは事態を収拾できて明らかにほっとしていた。

ルイスにとって表彰台に戻ったことは重要だった。何戦かひどいレース(シルバーストンで負け、ドイツではポイントなし)をしたあと、よい結果を求めそこから盛り返そうとしていたハンガリーによく似た感じだっただろう。

明らかにマクラーレンは、セットアップの方向性についてやや経験に欠けている。

マシンは最近かなり硬そうに見える。マーティン・ホイットマーシュは、セットアップで間違った方向に進み、サスペンションの硬さはマシンのブレーキングに悪影響を与えることを認めている。負荷のかからないフロント・ホイールはあまりに長時間路面を離れるので、ロックしている。

マクラーレンこれはかなり簡単に解決できるが、ヘイキ・コバライネンのクラッシュの原因解明に関してはかなりの作業が必要になるだろう。原因はホイールリムの故障だった。

マクラーレンのリムは、日本企業のエンケイが製造している。そして他チームのリムのほとんどと同じく鍛造マグネシウム製である。これ自発的に破損することは非常に稀である。

コバライネンがクラッシュする前、15周目のピケ/ボーデのアクシデントでトラックには多くの破片があった。したがって、外来物質が故障の原因だった可能性がある。

マクラーレンとエンケイは、マシンをトルコで再び走らせる前に、何が起こったのかを確認するために詳細な分析を行なうだろう。

ミハエル・シューマッハ
ミハエル・シューマッハパドックで懐かしい顔を見るのはいいものだ。しかし彼は、最近スペインでゴーカート・デビューを果たした息子のミックに関する記事や写真を掲載したマスコミに腹を立てていた。

自慢するわけではないが、僕らはミハエルの息子が2006年ブラジルでカートをしている記事を報じたことがある。

ミハエルが8歳の息子の身元を隠したがるのも当然であるが、ミックがレースのために選らんだマシンが、フェルナンドの古いヘルメットのカラーリングを採用したアロンソ-ブランドのカートだったので、なおさらだろう。

そしてヘルメットといえば、若いミックは、パパやライコネン、マッサ、ハイドフェルド、ロズベルグと同じカーボンファイバー製のシューベルトのヘルメットをかぶっていた。

このヘルメットの市販価格は約2,000ポンド(41万5,326円*)である。ミハエルは「1ポンドの価値しかない頭は1ポンドのヘルメットを買う」という信念にしたがっているが、シューベルトのヘルメットをかぶった8歳の新人というだけで怪しまれたことだろう。

ホンダ
バトン、ホンダジェンソン・バトンは、ホンダにおける長期的将来について満足している様子が窺われるが、新しい契約に関してはまだ何の発表もない。

それでも、去年の中国以来、久しぶりに数ポイントを獲得したことはチームにとって素晴らしい結果だった。

ホンダの新しいエアロ・パッケージの一部には、だらりと垂れたウサギの耳のようなものがある。僕は、これがマシンの操縦性をどの程度変えたのかを知りたかった。

新しいエアロ・パッケージは、コーナー半ばでアンダーステアになった。しかしジェンソンは他のパラメータを変更することでチューニングしようとしたので、マシンはますます操縦しにくくなった。彼は週末の大半をマシンに慣れるのに要した。

ところで、ホンダは金曜フリー走行後、フロント・ホイールのフリスビーをはずさざるを得なかった。ロス・ブラウンは「信頼できないことがわかった」と説明した。

ロスは、重量はやや増加するものの1周あたり0.25秒の短縮に相当するが、レースで使うためには信頼性が必要であるとつけ加えた。

レッドブル
レッドブルライバルが取りこぼしたポイントをかき集めるというマーク・ウェバーのトレードマーク的テクニックは、バルセロナでも続き、彼はドライバーズ・チャンピオンシップで順位をふたつ上げ、ニコ・ロズベルグやフェルナンド・アロンソよりも上位の8位になった。

フリー走行でスロットル連結とアクチュエータの故障で時間を無駄にしたマークにとっては素晴らしい回復ぶりだった。

前回のノートでデイヴィッド・クルサードのサイド・バイ・サイド接触はどうしたのだろうと書いたが、スペインでもまた発生した。

デイヴィッドはレース勘を失ったわけではないだろう。今回のアクシデントでは、彼はティモ・グロックがいるのを知っていたので、コーナーのインサイドに動いた。それでもトヨタはレッドブルと接触し、両者ともリタイヤした。

今年マレーシアを除く全レースで、なぜデイヴィッドは接触したのだろう? 偶然に違いない。しかし問題の根本は、これまでの予選通過順位が低いことである。

確かに、クルサードと彼のエンジニアは、Q1の最終走行のウォームアップ周回で渋滞につかまった。でも、トロ・ロッソのセバスチャン・ボーデがソフト・タイヤで1秒短縮したことを知りつつ、ハード・タイヤで最初のセッションを走行したのは自信過剰だった。

新しい予選方式の教訓があるとすれば「優勝するためには残らなければ」ということだ。だから、最も重要なハードルはQ2に進出することだ。そうすればまともなスタートができる。

マイク・ガスコインが先週言ったように「予選順位でレースをすることになる」のだ。クルサードは予選をグリッド後方で通過している余裕はない。

フォース・インディア
エイドリアン・スーティルエイドリアン・スーティルは今回も期待はずれだった。3度のリタイヤと19位フィニッシュは今シーズン、セバスチャン・ヴェッテルを除いて誰よりも悪い記録である。ヴェッテルは宿命を改善するために、今週高齢の女性たちがバスを降りるときに手を貸すことだろう。

ジャンカルロ・フィジケラが同じマシンで活躍しており、スペインではポイントに手が届きそうだったことから、スーティルの欠点が際立っている。

そして、才能と意欲のあるトニオ・リウッツィが虎視眈々とシートを狙っているので、エイドリアンはフィジケラに近づかなければならないというプレッシャーを受けるだろう。さもなければ、シーズン半ばに交代させられるリスクがある。

-Source: ITV-F1
-Mobile: Amazonモバイル

*日本時間2008年05月03日07:00 の為替レート:Yahoo!ファイナンス 外国為替情報




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