2008年5月5日

その理由は十人十色。

うれしすぎて？腹が立って？目立ちたくて？
時として球場では、乱入騒ぎが起こります。
今日も男性が一人フィールドに入り込んで、数メートル走ったか走らないかで
警備員に見事な背負い投げを決められ「退場」となり、
警備員は世界柔道選手権優勝のような拍手を浴びていました。

どんな理由があるにせよ、乱入は試合の流れを妨げる大変迷惑な行為です。
時としてテレビで面白おかしく扱われたして、半ば野球名物のように思われている向きも
ありますが、緊張感をばっさり切られた選手が苦々しく思っているのは間違いのないところ。
心底試合を楽しんでいたファンにとっても、がっかりさせられる中断でしょう。

そういえば先日、コロラドでも乱入騒ぎがありました。
女性が一人、上半身はブラジャーだけ、という姿でフィールドに
入り込んだのです。

迷惑でした。しかし、今日の乱入とは明らかに空気が違う。
（もしかしてあのブラジャー、取るんちゃうか・・・？）という期待が、
球場内に満ちていたのです。実際、その女性がそのままの姿で
連れて行かれた時は、なんとなく残念そうなムードが感じ取れました。

乱入は、迷惑な行為です。
しかし、乱入する理由も、乱入によって「がっかり」する理由も、
やはり人それぞれなのでした。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

2008年5月4日

試合前、多くの選手がスチームサウナに入ります。蒸気の吹き出るサウナでまったりするわけではなく、
練習前に身体を効率的に温めて筋肉をほぐし、怪我を防止し、動きをよくするためです。
そして、じーっと座っているのが苦痛なのか、何かしら「やること」を探しています。

グレッグ（ダブス・内野手）に言わせると、髭を剃るのにこれ以上の場所はないとか。
「ひげが暖められて柔らかくなって、おまけに湿気があるからクリームもいらないだろ！」
片手に水の入った紙コップ、片手に髭剃り、といういでたちで登場し、
ショリショリしては、紙コップに髭剃りをちゃぷちゃぷ。
ショリショリ、ちゃぷちゃぷ。ショリショリ、ちゃぷちゃぷ。
実用的だとしても、かなりマヌケな光景です。

しかしもっとうわてがいました。
今日の試合後移動なので、Ｊ・Ｃ（ロメロ・投手）が
しわくちゃのスーツを吊り下げて、サウナに向かっていったのです。
裸で汗をだらっだらかきながら、神妙な顔でじーっとスーツを捧げ持つ彼。
こんなに写真が撮りたいと思ったことは、かつてありません。

しかし効果は絶妙です。
スーツ片手にサウナから出てきたＪ・Ｃは文字通り「涼しい」顔で、
しわはしっかり伸びており、
僕も含めて、今後何人も真似をする選手が出てくることを予感させたのでした。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

2008年5月3日

ケンタッキーダービーです。１８７５年から続く由緒あるレースを前に、
クラブハウスの盛り上がりは尋常ではありません。
「俺も日本にいたときはよく競馬をやったよ。日本語わかんないのにラジオまで聞いて、
どの馬来た？ねえねえ？って、盛り上がったなあ」とチャーリー（監督）。

僕は競馬をやらないので、もっぱら熱狂ぶりを見ているだけ。
飲み会でたった一人お酒を飲まず、冷静に酔っ払いを観察して楽しんでいるような、
そんな気分です。

で、その「酔っ払い」の皆さん。ブルペン捕手のミックなどは、
長いソックスをおたふくかぜの子供のように顔の周りに結び、
両耳のガードのないコーチのヘルメットをかぶり、
ゴーグルをしたら、ほうらジョッキーに変身。
「さああああ、いくぞおおおおお！」そのミックの叫びをきっかけに、
「うおおおおおおお」と、雄叫びがあちこちで上がり、
いよいよ出走です。

「俺のっ！俺の馬あー！！！」
「こいこいこいこいこいー！」
「来た来た、きたーっ！」
「あー！あー！あー！あー！あー！あー？あー・・・」

何人かの選手は、試合前にすでに燃え尽きて
真っ白な灰になってしまった、アメリカ３冠の最初のレース。
あと２冠分、試合への影響が懸念されます。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

田口選手宛のファンレターはこちらまで　letter@taguchiso.com