誘拐の日本人女性、2人とも解放 イエメン2008年05月08日10時29分 【カイロ=平田篤央】イエメンの首都サヌア東方約180キロのマアリブで7日夕、日本人の女性観光客2人が誘拐される事件が起きたが、2人は約8時間後の8日午前0時半(日本時間同日午前6時半)すぎ、無事に解放された。在サヌアの日本大使館が2人が滞在していたホテルに戻ったことを確認した。
犯行グループは地元部族のメンバーとみられ、イエメン内務省が部族長を通じて交渉していた。 政府関係者によると、被害に遭ったのは、会社員三島慶子さん(41)=東京都杉並区=と遠藤志津子さん(44)=福岡市。日本大使館が本人と連絡をとったところ、けがなどはなく元気だという。犯行グループは2人に「危害を加えないので安心するように」と話していたという。 2人は、5人のグループでマアリブ周辺の遺跡を観光していた。車で移動中、武装した数人の男に襲われた。男たちはイエメン人運転手を追い出して2人を連れ去った。AFP通信によると、検問所で治安部隊と銃撃戦になり、警察官1人が負傷した。 犯行グループは、収監中の仲間1人の釈放を要求していたというが、イエメン政府が応じたかどうかは不明。 イエメンではこの10年ほど、地元部族民が教育や道路などの生活改善を政府に要求するため、外国人を誘拐する事件が相次いでいる。ただ、こうした誘拐事件ではほとんどの場合、人質は無事に解放されている。 イエメンはアラビア半島南部にあり、紀元前には「シバの女王」で知られるシバ王国が東西交易で栄えた。事件のあったマアリブ周辺にはかつてのダムや神殿などの遺跡があり、観光客を集めている。一方で自爆テロや誘拐も多く、日本の外務省もマアリブ州などは渡航延期を勧告していた。 ◇ 小野寺五典外務副大臣は8日朝、臨時の記者会見を開き、外務省として被害女性2人の無事を確認したことを明らかにした。 小野寺氏によると、現地の日本大使館員が解放された被害者と電話で連絡をとった。2人とも無傷で、所持品も取られていないという。大使館員が面会したうえで、今後の予定を決めるという。 事件の一報を受け、同省は7日午後11時30分、領事局に連絡室を設置。8日午前1時48分に小野寺氏を本部長とする緊急対策本部を立ち上げ、現地との連絡にあたった。解放に至った経緯については、現地時間の夜が明けた後、イエメン当局から説明を受けるという。 ■渡航注意の地域 イエメンで誘拐され、解放された三島慶子さん(41)と遠藤志津子さん(44)が参加していたのは、同国内の世界遺産などを10日間で巡るパック旅行だった。だが、イエメンでは過去に国際テロ組織アルカイダ関連とみられるテロ事件や誘拐事件が相次ぎ、外務省は渡航の注意を呼びかけていた。 三島さんは東京電力勤務。同社によると、東京支店荻窪支社練馬営業センター料金グループに所属する入社約20年のベテランで、料金関係の仕事を担当することが多かった。同僚らは、8日早朝のテレビで誘拐について初めて知った。その後、解放されたというニュースが流れ、上司は「とても安心した」とほっとした表情だった。 2人が参加したのは、旅行会社エアークリスタル(東京都新宿区)が企画したパック旅行。首都サヌアから入国し、コーヒーの積み出し港だったモカなどを観光。同社は「現地からの情報収集中で詳しいことはまだわからない」。渡航注意が出ている地域のツアーを企画したことについては「護衛を付けるなどして対応しているが、このようなことになった」とした。 在日イエメン大使館関係者は「日本人の観光客は大切な人たち。(イエメン)政府が力を入れて解決した。二度とこうしたことは繰り返しません」と話した。 PR情報国際
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