私がFEN東京に在職したのは、1952年6月から1958年9月ですから、前述のようにRCAアンプの球はメタル球で、少々落としても割れない丈夫なため、軍用には多く使われていましたが、SP600にはもうミニチュア球(MT球)が使われて始め、8ピンのオクタル球と混在していた時期です。
日本では国民型と言われた、いわゆる並4式の再生バリコンで音量を調整していた戦前型のラジオから、ST球を使った5球スーパーにが普及しはじめた頃です。
今、一部のオーデオマニアが球アンプの良さを見直し、高級な球アンプも売っていますが、若い方にも少ない数ですがファンがいるようです。 検索して見ると中には球の作り方を教えて下さい?などの珍問もあり、自作しようと言う熱意は買いますが、時代を感じてしまいます。
古い方は知ってることですが、球のフィラメントがなぜ6.3Vとか12.6と中途半端なのは初期のラジオは電池式でしたが、やがて車社会となったアメリカは車の鉛電池のワンセルが2.1V その三倍の6.3Vを車が採用したから便利だったからでしょう。
後にアメ車も12Vになりましたが、欧州車は12Vでした。 12AU7のように直列にすれば12.6V、並列なら6.3Vとなるのはやはり6.3VがAC電源になってトランスを使うようになっても主流だからで、整流球の大型は5Vが多いのはトランスになって絶縁度を求められて別回路になったためと考えられます。
基本的には球は同じ記号の球なら、メーカーが違っても同一性能なのがTRと違って便利です。 最初の数字がフィラメントの電圧を表示しるのが普通ですが、例外もあり、主としてシルバニアが作ったロクタル球は頭に 7 がついていますが6.3Vです。 初期の球や特殊球はこの限りではありません。
アメリカの家庭用ラジオは殆どトランスレスの物が多く、傍熱球のヒーター温度が同等に達するようになっています。 軍隊用の無線機は電池で働くようになっている物も多く、A電池とB電池を使った物も見たことがあります。珍しく電池球のロクタル球を使ったオールウェーブ受信機で、AC電源使用時は出力球50L6のカソード電流で電池球を点火するようになっていました。