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2008年5月8日

 やっと中国国家主席の来日が実現した。「戦略的互恵関係」と言って両首脳がにこやかに握手したが、懸案の解決はどうなったのだろう。とかく外交交渉というのは分かりにくい

パンダの「土産」話は、分かりやすい。上野のパンダが死んだばかりで格好の話題なのだが、2頭の借り賃は1億円とか。なかなかの商売上手である

タレ目のパンダという印象が強いが、よく見ると鋭い光を放つ上がり目である。周りの黒い模様がタレ目のように巧みに「偽装」している。愛くるしいしぐさが目を引くが、ときに飼育員も襲う凶暴さを持つという。なかなか油断のならない珍獣である

パンダにしてこうなのだから、国家主席の「暖かい春の旅」というほほ笑み外交も、一筋縄ではいくまい。握手をするテーブルの下で、足のけり合いやら、知らんふりやら、おとぼけやら、いろんな駆け引きがあったとしても不思議ではない

パンダ貸与が決まったのは、非公式な夕食会。正式な首脳会談で持ち出すには、気の引ける商談である。珍獣自身に何の責任もないが、パンダ外交のありがたみは薄れた。


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