福岡県域のラジオ放送「クロスFM」を運営するエフエム九州(北九州市)は7日、臨時株主総会を開き、放送事業を分割した上で、投資会社が設立した新会社「CROSS FM」(同)に事業承継することを決めた。広告収入の落ち込みなどで債務超過が続いていた。総務省の許可を受ければ、新会社が6月中旬にも従業員27人の雇用や放送設備を引き継ぐ。県域放送するラジオ局の事業譲渡は全国初。
エフエム九州は、北九州経済界などの出資で1993年に開局。ピークの99年3月期には11億円を超す売上高を計上した。しかし、今年3月期には売上高6億900万円、純損益が2800万円の赤字に転落し、債務超過額は5億9700万円となった。設備更新も迫っており、自力再建を断念した。
会見したエフエム九州の山本綱夫社長は「若い人向けに面白い番組を提供できず、聴取率が30%程度と低く、広告も取れなかった」と語った。6月の定時株主総会で解散を決議し、特別清算を申し立てる方針。
新会社は、投資会社「ネクスト・キャピタル・パートナーズ」(NCP、東京)が出資し、資本金は9300万円。6月末に6社程度から増資を受けて、資本金は計1億5000万円となる。新社長には、今年1月まで九州・アジア経営塾(福岡市)のエグゼクティブアドバイザーなどを務めていた鵜木有子氏(54)が就任。鵜木社長は「地域のラジオ局が失われるのを避けるため、要請を引き受けた」と述べ、8月にも再建の具体策を示すとしている。
=2008/05/08付 西日本新聞朝刊=