アジア・オセアニア

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ミャンマー:路上に遺体が錯乱 サイクロン被害

 路上で手をつないだまま息絶えた子供たちの遺体。泣きながら家族を捜す人々--。ミャンマーの反政府系インターネットサイト「民主ビルマの声」(DVB)は7日までに、サイクロンの直撃で壊滅的な被害を受けた、イラワジ川河口地域の生存者の証言を伝えた。遺体は茂みや小川など至る所に散らばり、回収作業も行われないまま、猛暑のなか異臭を放っているという。国営メディアは6日夜に死者2万2464人、行方不明約4万1000人と報じて以降、被害に関する新しい情報を伝えておらず、被災の全体像は依然として不明だ。

 生存者がDVBに語ったところによると、嵐とともに高潮が村を襲った。倒れた木の下敷きで死亡した住民も多い。人に交じって家畜の死骸(しがい)が散らばり、生存者も家を失い、多数が路上で眠っている状態だという。 

 サイクロンは「ナルギス」と命名された。国連人道問題調整事務所の担当官は7日、河口地域で「(千葉県とほぼ同じ面積の)5000平方キロメートルが水につかっている」と述べ、推計で約100万人が家を失い、救援を必要としていると明らかにした。

 河口地域はイラワジ川の支流が複雑に入り組み、蛇行して流れるデルタ地帯だ。ミャンマー国内で井戸掘削などに取り組む非営利組織(NPO)「ブリッジ・エーシア・ジャパン」(BAJ、本部・東京都渋谷区)の束村康文さん(47)によると、もともと無人の地域だったが、約100年前、水田を開拓するために住民が移住した。降雨に頼る米作で、かんがい施設や防波堤はなく、潮の満ち引きで川の流れが変わる。

 サイクロンの上陸はまれ。束村さんは「(サイクロンへの)備えがなかったのではないか」と推測する。【花岡洋二、バンコク藤田悟】

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 BAJ(03・3372・9777)は救援金を募っている。

 【ことば】サイクロン 強い熱帯低気圧のうち、ベンガル湾やアラビア海などの北インド洋で発生するものをサイクロンと呼ぶ。大西洋や太平洋北東・北中部で発生するものがハリケーン、太平洋北西部や南シナ海で発生するものが台風。

毎日新聞 2008年5月7日 22時39分(最終更新 5月7日 23時32分)

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