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テレビや新聞で耳にする、政治や経済の言葉。
でも、皆さん、本当に意味わかっていますか?
今更聞けない用語、けれども知らぬは一生の恥。
おバカ編集部のおバカな質問を、浜田先生にお答え頂きます!

第10章

2008年平成20年)5月7日水曜日

チベット問題【ちべっともんだい】

▼おバカ編集部
最近、北京オリンピックのニュースの時には必ずといっていいほど「チベット問題」が取り沙汰されていますが、一体どんな関連があるのですか?

▼浜田先生
はい。まずチベット問題のそもそもの始まりは1949年、中国共産党が天下をとり、中国が建国されたばかりの頃に遡ります。新しく出来たばかりの国を守るために少しでも領土を広げようと考えた毛沢東は、インドやネパールとの国境と接するヒマラヤ山脈や世界最高峰のエベレスト山のあるチベットの地形に目をつけたのです。「“天然の万里の長城”ともいえるチベットの山岳地帯は、海外からの攻撃を防ぐための防波堤になる。」そんな風に考えて、チベットへの侵略を進めていったのです。

▼おバカ編集部
チベットって、中国の一部だったのですね。国名だと思っていました(汗)。

▼浜田先生
いえいえ、違いますよ(笑)。でも確かに、日本ではチベットについてよく知らない人が多いかもしれませんね。
ですが、日本人にも馴染みのある仏教は、実はもともとチベット仏教が原典なのですよ。大昔、中国や北朝鮮を経由して日本へ伝わったのですが、チベットには日本や中国に伝わらなかったような伝統や風習、信仰活動も今も大切に継承されています。
そのチベット仏教の最高位であるダライ・ラマ14世は、魂は何度でも生まれ変るという輪廻転生を教えとしています。ところが中国政府は「宗教は国の発展の妨げになる!」と言って信仰活動を禁止したり、あるいはチベットの言語や教育などすべてを変えさせようとしたのです。

▼おバカ編集部
えぇ~!何だかひどいですね!チベットの人たちは、全く抵抗が出来ないのですか?

▼浜田先生
もちろん、今までにも独立運動やデモは何度も繰り返されてきました。けれど、貧しいチベットの人々が反動を起こしても、武力で押さえつけられてしまうのです。そのくらい、中国はチベットを手放したくないのですよ。

▼おバカ編集部
そこまでして、中国がチベットを確保する理由って何なのですか?

▼浜田先生
それはですね、最初にお話した国防上の理由も第一ですが、中国人が生きるのに欠かせない水は、チベット高原の氷河が水源なのですよ。さらには、チベットに眠る銅や鉄鉱石などの地下資源を狙っている事も理由のひとつですね。それに何より、中国は漢族を含めて全55民族からなる多国民族なのですが、チベットが独立することで、他の民族も独立してしまうことを一番恐れているのです。
せっかく手に入れた広い領土を失いたくありませんから、力づくでもチベットを手元においておきたいのですよ。

▼おバカ編集部
何だか身勝手ですね~。それだけ中国にとってなくてはならない民族ならば、もっと待遇を良くしてあげたりしないのですかね?

▼浜田先生
そうですねぇ。最近だと、2006年に北京とチベットのラサをつなげる「青蔵鉄道」が開通したことで、毎日6000人以上の観光客が世界中からラサを訪れるようになりました。そのおかげでチベットは中国の平均を上回る12%もの経済成長を遂げたのですが、それはすべて漢族のおかげだと言って、反北京感情を抑えようとしているのです。
しかし実際は、観光客のホテル代や食事代、お土産屋の売り上げは、ほぼ漢族がもうけるばかりで、チベットの人たちには、その恩恵はほとんど行き渡らないのです。それどころか、ラサは「東のラスベガス」と呼ばれるほど、歓楽街へと姿を変えてしまいました。そうして、自分たちの聖域が汚され不平不満が爆発したチベットの僧侶や市民が、今年の3月14日、チベット自治区のラサにおいて自由を求める反政府デモを起こしたのです。

▼おバカ編集部
それが、今回の騒ぎの発端なのですね!でも中国政府からの抑圧はずっと続いていたのですよね?なぜこの時期なのですか?

▼浜田先生
それは、北京オリンピックの開催年であることが大きく関連していますね。今年は世界中から中国へ注目が集まっていますから、この機に、チベットの現状を世界中に知らせたいと思ったのでしょう。
しかし3月は、ちょうど全人代の時期で、胡 錦濤氏が再選し安定した政権をアピールしようとしていたため、政府も非常にデリケートになっていたのです。このタイミングで反政府デモが起こってしまっては、世界に対する印象は悪いですからね。中国政府による弾圧活動が行われ、最終的に100人近くの人が犠牲となり、かつての天安門事件を彷彿とさせる事件に発展してしまったのです。

▼おバカ編集部
世界中で聖火リレーを辞退したり妨害があったりしたのも、これが原因なのですか?

▼浜田先生
はい。今回の暴動の報道を受けて、世界中から中国に非難の声が上がりました。世界には仏教を信仰している国や地域がたくさんありますから、チベットを案じる国々は、オリンピックの開会式や大会そのものをボイコットすることで、中国政府への批判の意思表示をしようと考えているのです。

▼おバカ編集部
そうなのですね!では、日本はどうなのですか?

▼浜田先生
日本は、特にボイコットをする予定はないのですが、福田総理は「チベットをもっと大切にして欲しい」と訴えていますよ。
しかしながら中国政府は、「チベット問題は内政問題だから、外国が口出しすることじゃない」と全く聞き入れようとしないのです。

▼おバカ編集部
え~!そんなぁ…。もしこのまま解決出来なかったら、オリンピックが中止になってしまったりしませんか?

▼浜田先生
う~ん、今のところそれはなさそうですが、もし中止になるとしたら2つの可能性があります。
まずは、環境の問題です。特に今の北京は、排気ガスや工場による大気汚染がひどいので、マラソンの世界記録保持者であるハイレ・ゲブレシラシエ選手が自分の身体を第一に考え、出場を辞退してしまったくらいです。環境汚染があまりにもひどすぎた場合、選手の健康被害を懸念して、WHOが延期や中止の勧告をすることができるのですよ。
また、中国から独立したい若いチベット民族からなる「チベット青年会議」によるテロ活動も公言されていて、例えば、オリンピックのメインスタジアムを爆破する、なんてことになれば、当然、オリンピックを開催するのは危険すぎますよね。

▼おバカ編集部
それはこわいですー!中国がいつまで経ってもこんな状態じゃ、安心して応援にも行けないですよ!

▼浜田先生
そうですね。本来オリンピックは、平和とスポーツの祭典のはずなのにね(苦笑)。
世界中から観戦客が来なければ、中国の経済にも間違いなく悪影響が出ますから、中国だって自分で自分の首を絞めているわけです。これは何とか早い時点で決着をつけたいとは思っているわけだけれど、なかなか解決の糸口が見つからないのですよ。

▼おバカ編集部
こんなことになるなんて、誰も想像できなかったのですかね?

▼浜田先生
本来ならば、2001年に開催されたIOC総会では、中国は2008年までに民主化することを約束していたのです。確かに一時期、多少改善されたのですが、まだまだたくさんの問題を抱えたままです。悲しいことに貧富の差は激しいですし、いい思いをしているのは一部の人たちだけで、市民は自由な発言すらも許されていないのです。

独裁社会というのは、日本ではなかなか想像しづらいですが、自由を奪われている人々の悲しみや苦しみは計り知れません。しかも、自由を求めて反動しようものなら、即銃殺されてしまうのです。今、中国では1日80人もの人が死刑にされているという悲しい現状があるのですよ。中にはもちろん極悪犯罪人もいるのでしょうけれど、半数は反動を起こした人を、見せしめ的に殺してしまったりするようなケースが非常に多いのです。

オリンピックは全世界が注目する一大イベントですから、ちょうどこの機会に、もっとチベットのことが世界に認められて、もっと実態を知ってもらうようになるといいですよね。


取材:皆川夕美

Profile 浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸先生
1953年鳥取県生まれ。東京外語大学中国科卒業後、米ジョージ・ワシントン大学大学院政治学博士課程修了。戦略国際問題研究所主任研究員等を経て帰国。現在、国際未来科学研究所代表。また国連大学アメリカ評議会ミレニアム未来研究委員、21世紀の成長企業を探る研究会座長などを歴任。
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あなたが疑問に思っていることをおバカ編集部が浜田先生に取材します。
※ご投稿頂いたご質問は、編集部で検討し取材させて頂きます。
知っツモ WORD
天安門事件
1989年、一党独裁制による抑圧から民主化を求めるデモが、北京市内の天安門広場で行われた。人民解放軍の武力弾圧により、大量の市民が虐殺された事件。
全人代
全国人民代表大会の略称。日本での国会にあたる。
ダライ・ラマ14世
チベット仏教ゲルグ派の最高指揮者。インドに亡命し、亡命政府の指導者でもある。
これまで学んだこと
[日本経済&世界情勢を学ぶⅡ]
第10回 「チベット問題【ちべっともんだい】」 第9回 「暫定税率【ざんていぜいりつ】」
第8回 「アメリカ大統領選挙【あめりかだいとうりょうせんきょ】」 第7回 「山田洋行【ヤマダヨウコウ】」
第6回 「小沢一郎【オザワイチロウ】」 第5回 「裁判員制度【サイバンインセイド】」
第4回 「内閣総理大臣 【ナイカクソウリダイジン】」 第3回 「FX【エフエックス】」
第2回 「日本年金機構 【ニホンネンキンキコウ】」 第1回 「北京オリンピック 【ペキンオリンピック】」


[日本経済&世界情勢を学ぶⅠ]
第22回 「10年後の日本」 第21回 「増税」
第20回 「企業買収」 第19回 「内閣改造」
第18回 「郵政民営化」 第17回 「アメリカ経済 2」
第16回 「アメリカ経済」 第15回 「上場」
第14回 「新貨幣」 第13回 「海外支援」
第12回 「1円企業」 第11回 「高速道路」
第10回 「株式」 第9回 「税金」
第8回 「りそな銀行」 第7回 「通貨」
第6回 「国連」 第5回 「デフレ」
第4回 「有事法案」 第3回 「年金」
第2回 「竹中 平蔵」 第1回 「ペイオフ」
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