カーボンナノチューブ(CNT)を自由自在に立体的に形状加工する技術を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)のナノチューブ応用研究センターが開発した。英科学誌「ネイチャーナノテクノロジー」の電子版に4日付で掲載された。
CNTは、高導電性や柔軟性など優れた特性を持っているが、任意の形状を作り出したり、自由に加工することが難しかった。
研究チームは、基板上に垂直に成長させる技術で作ったCNTの膜を、特殊な溶液に浸して倒し、板状につなげたCNT基板を作製した。シリコン基板と同じ微細加工技術を使って、この基板から集積回路などを大量に作ることに成功した。
基板の厚さは100ナノメートル(ナノは10億分の1)~50マイクロメートル(マイクロは100万分の1)で、シリコン基板では難しい立体的な加工も可能になったという。
同センターの畠賢治チーム長は「CNTを使った回路の実用化に大きく近づいた。加工技術はできたので、今後、物体の特性などを調べ、企業などからの提案を受けて用途開発を進めたい」と話している。【石塚孝志】
毎日新聞 2008年5月5日 2時30分